コメが安すぎると困る『3者の存在』

 山下研究主幹によりますと、コメの価格が”下がりすぎる”ことを望まない存在がそれは『JA』『農林族議員』『農林水産省』だといいます。

 まず「JA」はコメの価格が低いほどコメの販売手数料が減ります。また米が安すぎることは、JAバンクの顧客である零細農家の存続にも関わるのではないか、というのがその理由だということです。

 「農林族議員」にとって零細農家の存続が自らの選挙に直結する可能性もありますし「農水省」も農業の弱体化につながるため、現状維持を望む傾向があるのではないか、と山下研究主幹は言いました。

 こうした見立てについて元官僚でもある中野雅至教授は、「バイアスかかっている意見」とし、「こうした指摘はよく農水官僚を辞めた専門家から出ているが、農水内部にもいろんな路線があり、JA中心に市場をコントロールしたい路線や、自由経済論者など様々な路線がある中で、政策がジグザグしているのが農水省の姿ではないか」としました。

 そのうえで、「高くする機会は何度もあったのに、コメ価格が安いときに高くせず、低く抑えられてきたのが問題で、そもそも農林族議員の政策が原因なのではないか」と指摘しました。

 今後のコメ政策は、農家だけでなく消費者の視点も取り入れたバランスの取れたアプローチが求められています。コメの価格の高騰問題は今後も注目されていくでしょう。