カトリック教会の最高責任者、ローマ教皇フランシスコが21日、亡くなりました。教皇は6年前に広島を訪れました。当時、面会した被爆者たちにも深い悲しみが広がっています。

21日、88歳で亡くなったローマ教皇フランシスコは2019年に広島を訪れ、平和公園で核兵器廃絶への思いを訴えました。

ローマ教皇フランシスコ 平和メッセージ
「原子力の戦争目的の使用は倫理に反します。核兵器の保有もまた倫理に反します」

95歳の被爆者、加藤文子さんです。15歳で被爆し、その後、カトリック教徒になりました。教皇の広島訪問では「平和のための集い」に参加し、最前列で迎えました。

カトリック教徒 被爆者 加藤文子さん(95)
「『アイアムカトリックヒバクシャ。アイアムナインティ』と私が言いました」

そして教皇と抱擁を交わし、うれしくて涙が溢れたといいます。

加藤文子さん(95)
「私を抱きしめて下さいました。涙がぽろぽろ出で。そうしたら、教皇さまは手で私の涙を拭いて下さいました。今でもきのうのことのように思い出します」

教皇の平和への思いに触れ、心強く感じたという加藤さん。自らの被爆体験を伝え続けようと決心しました。

加藤文子さん(95)
「こんなに長く生きて、原爆を証言するために私は生かされた」

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被爆者 原爆資料館元館長 原田浩さん
「両手で握手して下さった。とても温かい…」

原爆資料館の元館長、原田浩さん(85)も教皇と面会した被爆者の1人です。

被爆者 原爆資料館元館長 原田浩さん(85)
「ヒロシマの願いと共通した思いを多くの方に伝えてくれた。極めて大きな方を失ったと心が痛んでいます」

原田さんは、教皇の思いを受け止め1人1人が平和のために行動すべきだと話します。

原田浩さん(85)
「行動を続けていくことが大きな活動につながっていく、そういう気持ちで皆さんも受け止めて下さればと思います」

湯崎英彦 広島県知事
「非常に明確な核兵器を否定するメッセージを世界に向けて発信していただいて、本当に我々にとっても大きな存在だったと思います」

教皇の死去を受け、広島市内の教会でも今後、ミサが予定されています。