◇《3年前に"赤ちゃんポスト"開設…運営めぐる行政との対立も》
そんな中、偶然、SNSで見つけたのが坂本さんの支援活動でした。
かえでさん(18歳・仮名)
「SNSでニュースの切り抜きを見て、そこで存在を知って。電話かけた時に優しく話を聞いてくれて、そこで泣いちゃって…」

こどもSOSほっかいどう 代表・坂本志麻さん
「まずは無事でよかったなって。よく連絡くれたもんね」
かえでさんは、残り少ない所持金で夜行バスなどを乗り継ぎ、遠く離れた北海道へ向かうことを決めました。バッグには、東京で買った、安産祈願のお守りが結ばれていました。
妊娠や出産で孤立する女性たちを支援している、坂本志麻さん。北海道当別町にある自宅を拠点に活動し、3年前“赤ちゃんポスト”も設置しました。

こどもSOSほっかいどう 代表・坂本志麻さん
「人によっては、友だちにも言えないし、周囲にも言えない人もいます。実際に、誰も言わずに、独りで産んだ女性が連絡下さっています」
まだ“赤ちゃんポスト”が使われたことはありませんが、運用を巡って、行政との対立は続いています。そうした中、6人の赤ちゃんを、母親と対面した上で、受け入れました。

◇《小さな命を宿して北海道へ…孤立妊婦からのSOS》
かえでさん(18歳・仮名)
「養子に出せばいいじゃん…里子に出せばいいじゃん…って思えるほど(おなかの子どもに)無責任な判断はしたくなくて。できれば、自分の手で育てたいけれど」
実家を飛び出し、坂本さんを頼ってきたかえでさん。妊娠10週目に入っていました。
こどもSOSほっかいどう 代表・坂本志麻さん
「連絡くれてありがとうって思いました。ちゃんと、おなかの子どもを守ってくれて、守ってくれてたんだから」

坂本さんは、自身が受け入れた子どもらとの触れ合いを通じて、伝えたい思いがありました。
こどもSOSほっかいどう 代表・坂本志麻さん
「まずは素を見せてあげたいなと思いまして。正論とか表面的な話だけではなくて、子育てって苦労だけじゃなくて、喜びや楽しみがあるんだよって」
坂本さんは、かえでさんの母親とも話し、おなかの子の将来を考え、2人で話し合ってほしいと伝えました。

北海道当別町で、坂本さんのもとで、3日間を過ごしたかえでさん18歳。実家に戻る日、不安な表情が、まだ消えないかえでさんに、坂本さんは、励ますように言葉をかけていました。
こどもSOSほっかいどう 代表・坂本志麻さん
「大変そうに見えた?子どもと過ごすの?」
かえでさん(18歳・仮名)
「この人数だと大変そうに見えた」
独りで妊娠の悩みを抱え、たどり着いた北海道。かえでさんの心境に変化がありました。
かえでさん(18歳・仮名)
「自分の中でなかった選択肢を出してくれて、今後、母と改めて話すときに新しい選択肢ができたことによって、子どもと一緒に暮らす道が見えました」
彼女のバッグに結ばれた、安産祈願のお守り―。小さな命を守ろうという決意の現れです。
