2025年は昭和元年から数えて100年目。時代を超えて愛されている名店の味を紹介します。今回は、俳優・三國連太郎さんが愛した喫茶店のコーヒー。店は、変わらないことをコンセプトにしています。
静岡県沼津市にある「カフェブラン」。昭和63年に創業しました。レトロな調度品が並ぶ店内は、蔵をイメージしています。壁には、真っ白な「しっくい」が塗られていて、フランス語で白を意味するブランが店名の由来です。
<カフェブラン 加藤誠さん>
「開店からほぼ変わっていない。内装も無改装、出しているものも変わっていない。そのままをずっと維持してやっているというのが、最大のコンセプト」
長年愛されているメニューのひとつがブラックコーヒーです。イタリア製のコーヒーミルでひくのは、絶妙なバランスでブレンドした5種類の豆。銅製のポットでお湯を沸かすことで口当たりがやわらかくなるそうです。
このブラックコーヒーは、「三國ブレンド」と呼ばれています。晩年を沼津市で過ごした俳優の三國連太郎さんが求めた味でした。
<加藤さん>
「もう今から30年ぐらい前、たまたま三國連太郎さんがお寄りになってくださって。『飲みやすいコーヒーをくれ』と言われたので、三國さんに合わせてブレンドしてお出ししていたコーヒー」
三國さんだけに特別に出していたコーヒー。12年前に亡くなったあと、三國さんのファンからの「同じコーヒーを飲みたい」という声を受け、メニューにしました。
<加藤さん>
「これが三國ブレンド専用カップ。三國ブレンドは、こちらのカップで入れている。こういうカップがあるが、(三國さんは)ここに指が入らないので、『マスター、僕の指が入る大きいカップはないか』という話になって、こういうカップだとここに指が入ると」
<客>
「いつもの味で、ずっと変わらない味が落ち着きます」
三國さんも注文していた「チーズケーキ」。やさしい甘さとさわやかなオレンジの果汁がコーヒーの味を引き立たせます。
約20年間、店に通った三國さんの座る席は、コーヒーを入れる加藤さんの目の前、いつも同じ場所でした。この席は人気が高く、店のアルバイトとして働く村田さんのお父さんも座っていました。
<スタッフ 村田未来さん(19)>
「小さい頃にここでこんなお話ししたなとか、あとは学校帰りにたまに寄って、マスターとしゃべったり、お父さんとしゃべったりという思い出があります」
店主の加藤さんは、今の形を変えないこと、店がそのままの姿であり続けることを願っています。
<加藤さん>
「ひと言でいうと、あの頃の自分に戻れるような場所。あの頃座ったイス、あの頃触れたテーブル、あの頃飲んだコーヒー、におい、音、空間。やっぱり昔の思い出がね、1杯のコーヒーとともにまた巡り広がるみたいな、その一瞬の時間を大切にしたい」
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