16日に青森県弘前市で見つかった大規模な土砂崩れについてです。調査した専門家が報告書をまとめ、現場では複数の亀裂が確認されていて、現在も地盤の不安定な状態が続いている可能性があると指摘しました。

弘前市悪戸後沢地区では16日に、4軒のリンゴ園の園地や周辺の農道が崩れ落ちているのが見つかりました。

この影響で土砂が農業用水路をせき止め、リンゴ園も浸水しています。

「地滑り」や「自然災害」を研究する弘前大学の鄒 青穎(ツォウ・チンイン)准教授は、17日に現地調査を行い、これまでの段階で分かっていることについて報告書をまとめました。

鄒 准教授は土砂崩れの原因について、3月下旬以降、最高気温が6.3℃~15.5℃と高めの気温で推移したことで、積もった雪が急速にとけ、斜面の内部に水が染み込む状態になっていたと考えられるとしました。

弘前大学 自然災害を研究 鄒 青穎 准教授
「粘土と砂と比べると、放水しにくい性質がある。融雪の関係で水が浸透して、なかなか水がすぐに流れ出すことができず、山が重くなる。臨界状況になったら崩れ落ちる」

土砂崩れの崩壊範囲は長さ230m、幅60mで、深さは最大5mに及ぶということです。

さらに、複数の亀裂が確認されていて、現在も地盤の不安定な状態が続いている可能性があり、今後の動向に注意が必要と指摘しました。

弘前大学 自然災害を研究 鄒 青穎 准教授
「もともと地質、岩盤の条件が悪いところ。水が集中しやすく、古い地形であると要注意」

鄒 准教授は土砂災害の前兆現象として、湧き水の発生や地面にひびが見えたりするなどした場合は、注意して欲しいと呼び掛けています。