流行が長引いている原因は『季節のズレ』と『2つの型』?

なぜ4月になっても感染が拡大しているのでしょうか?
一つ目の要因として考えられるのは『季節のズレ』です。
気象予報士の森朗氏によると、1月は暖かい日が多く、2月3月は“寒の戻り”があり平年より寒い日が続きました。
ノロウイルスは寒い季節に流行するため、これにより感染の始まりが遅れ、さらに流行が長引く一因になった可能性があります。
さらに伊藤院長は、乾燥・寒波・寒暖差による人々の免疫力の低下も流行を加速させたのではないかと指摘しています。

2つ目の要因は、『“2つの型”の流行』です。
ノロウイルスには「型」があり、毎年1つの型のウイルスが流行しています。
しかし群馬パース大学大学院の木村博一教授が今年1~3月のウイルスを調査したところ、「従来型」「新型」の2つのウイルスが同時に流行していたことが分かりました。
伊藤院長:
コロナ禍でウイルス感染が抑えられていた間に、いつの間にかウイルスも遺伝子変異を重ねて新しい型のものに置き換わっているので、古い型も新しい型も混じっている。
我々にとって免疫でコントロールしにくいウイルスが流行っていることで、感染力がいつにも増して強いのではないかと思います。
ノロウイルスに感染したらー

ノロウイルスは通常のアルコール消毒が効きにくく、予防の基本は「石鹸による手洗い」です。
手の脂肪などの汚れを落とすことで、ウイルスが手指から剥がれやすくなります。
もしノロウイルスに感染してしまった場合、脱水症状を起こす可能性があるため、十分な水分と栄養補給が必要です。
伊藤院長は水分補給する際の注意点として、
「水分は一度に多く摂取すると吐き気を誘発する恐れがあるので、徐々に量を増やす方が良い」としています。
さらに感染の初期の段階では、体からウイルスを排出する方が良いので「下痢止め」は使わない方がいいそうです。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
整腸剤は飲んでいいです。腸内環境を安定させてむしろ良い方向に行きますから、まず整腸剤を飲んで、症状が重い・食事が摂れないというときには受診していただくのがいいと思います。