原発再稼働の是非を問う県民投票の条例案を審議する新潟県議会の臨時会が16日、始まりました。様々な課題が指摘される中、議会がどのような結論を出すのか注目されます。
正午の県議会入口にできた人だかり。受付開始とともに傍聴券を求める人たちが詰めかけました。そして、午後1時に大勢の傍聴人が見守る中、本会議が開会。

【花角知事】「新潟県民条例制定の直接請求が提出されたので、規定により意見を付けて討議する」
花角知事が議会に提案したのは、原発再稼働の是非を問う県民投票の条例案です。

県民投票の実現を目指す市民団体が14万3000筆あまりの署名を集めて知事に直接請求したもので、2日間に渡って県議会で審議し、最終日の3日目で条例案を可決するかどうかを決めます。

本会議に続いて開かれた特別委員会で、まず発言台に立ったのは直接請求した市民団体のメンバーです。
【県民投票で決める会 請求代表者 水内基成 弁護士】「理はどこにあるのか、一人一人がご自身の信条に従って見極めてください。必要とあらば条例案を修正し、時間をかけるべきはかけて、条例成立という大きな花を咲かせてください」

条例案をめぐり指摘されている問題の1つが原発再稼働に県民投票がなじむかどうかという点です。

これについて、参考人として招かれた新潟大学 法学部の今本啓介 教授は文献を引用しながら、高度な技術的判断を要する原発再稼働は、「住民投票には適さない可能性がある」と指摘。

【新潟大学 法学部 今本啓介 教授】「〇×方式は分かりやすいものではありますが、例えば"条件付き賛否”、"県議会に委ねる”、"棄権”の選択肢を作ることで結果は大きく変わる可能性がある」

そして各会派による代表質問。最大会派の自民党、中村県議は花角知事に対し、「感情論」への懸念を示しました。

【自民党 中村康司 県議】「国のエネルギー政策にも関わる問題について県民投票が冷静で合理的な判断でなく、過去の恐怖や不安に基づく感情的な判断に偏る可能性が高いのでは」

【花角 知事】「仮に県民投票が実施される場合には柏崎刈羽原発に関する安全対策の確認や原子力防災の取り組みの状況などについて広く県民に正確な理解をしてもらえる情報提供や共有を図っていきたい」

中村 県議はSNSでの情報など、県民が正しく判断できるか疑問だとして条例制定には「慎重なy対応が必要」としました。
一方で、野党系会派、未来にいがたの樋口県議は知事の認識を問いただしました。
【未来にいがた 樋口秀俊 県議】「県民に再稼働の是非を判断する能力がないとお考えなのか」

【花角 知事】「県民が再稼働の是非について判断できないとは考えていません。しかし、その前提としては専門的な情報を平易な言葉で解説するなどの取り組みを行って、正しく理解を深めてもらうことが重要」

午後5時すぎに16日の特別委員会は終了。議論を見守った市民団体は…
【県民投票で決める会 請求代表者 水内基成 弁護士】「県民が『そろそろ自分たちの意思表示をさせてくれ』ということがなぜ感情論という一言で切り捨てられるのか非常に不満」

審議は17日も行われ、18日に採決が行われます。