17日の日米協議 アメリカの狙いはどこに
小川彩佳キャスター:
私たちもお伝えする情報が次々と覆されるという事態になってしまっていますが、この事態はどうして起きているんでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
実際、トランプ政権の中で、ある種の綱引きが続いていると見ていいと思います。

ウォール街の財界に推されているベッセント財務長官と、トランプ氏の熱狂的な支持者に推されているラトニック商務長官が綱引きを続けていて、今のところベッセント財務長官の主導で動いているが、トランプ氏は時々ラトニック商務長官の肩を持っているような状況です。
これにより政策が揺れ動いてくるので、日本側としては、どの辺が政権の本音なのかというのを時間をかけて見極めていくということが必要だと思います。
小川キャスター:
その日本側のカウンターパートになる赤沢大臣は、どのような人物なのでしょうか。

星浩さん:
赤沢氏はずっと石破氏の側近中の側近で、元々運輸省、現在の国土交通省の官僚出身なので非常に手堅いところはあると思います。
今回も外務省・経産省・財務省の高官を束ねてアメリカに赴くのですが、今のところ農水省の高官が含まれていない点が気になります。
日本側としては、農作物の市場開放には今のところ応じる気はないという意思表示だと見ていいと思います。
藤森祥平キャスター:
既にアメリカ側は「日本はアメリカのコメに700%の関税をかけている」と言っていますが、大丈夫ですか。

星浩さん:
今、その辺を日本側が相当調べています。
トランプ氏はどうもコメの解放にはあまり関心がなさそうだというのが面白い点です。
アメリカで主にコメを作っているのはカリフォルニアで、カリフォルニアはトランプ氏の天敵である民主党の牙城ですから、あまりコメについてはこだわらないという姿勢のようです。
藤森キャスター:
何を狙っているんですか。
星浩さん:
おそらく、日本がいま第1列目の交渉者なので、日本から譲歩を引き出すことで、各国に対して「日本はここまで譲歩した」というシンボリックなものをいま探してる最中だと思います。
おそらく自動車や小麦など、アメリカにとってプラスになるものを探しているはずです。
今回の赤沢氏の訪米における最大のミッションは、アメリカの本音がどの辺にあるのかというのを見極めることになると思います。
藤森キャスター:
逆に日本側はこの交渉で何を狙っているんですか。
星浩さん:
日本側は下手に譲歩してしまうと、各国に対するアピール材料にされてしまうので、慎重に対応する必要があると思います。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身