交渉担当に赤沢大臣任命の背景 裏にあった“焦り”

日米交渉の担当として任命されたのが、赤沢亮正大臣だ。しかし、その人選に疑問の声が上がっている。自民党の役員など経験がないことから、「本当に大丈夫なのか」という声が与野党から聞こえてきている。

では、なぜ外交経験豊富な林氏や茂木氏ではなく、赤沢氏だったのか。

閣僚の人数制限が大きな要因だ。石破総理は、現在閣僚ポストが上限の19人で埋まっている状況。新たに閣僚を任命するには誰かと交代させるか、現職大臣に担当を追加する形にせざるを得なかった。結果的に後者が選択された。

林官房長官については、官房長官という立場上、海外に頻繁に出向くことが難しい。一方、茂木氏は現在閣外にいるため、あえて入閣させるには時間がかかりすぎる。このような状況下で、赤沢氏が浮上したのだ。

アメリカ側は、電話会談のその日の夜のうちに、窓口を決めてきた。アメリカ側の素早い対応に、日本政府の“焦り”が垣間見える状況だ。

赤沢大臣は、一見すると外交経験が乏しいように見える。しかし、意外な強みがあった。90年代に日米政府間交渉の担当経験があるのだ。

赤沢氏自身、任命後のインタビューで自信を覗かせている。飛行機の旅客機・貨物機の運航権をめぐる交渉を担当した経験を挙げ、これを生かせると主張した。
赤沢氏と石破総理は同じ鳥取県選出で、自民党派閥も同じだった。石破総理にとって、赤沢氏は心強い存在と言える。

興味深いのは、赤沢氏自身が手を挙げた可能性があるという点だ。政府関係者の間では、赤沢氏が自ら立候補したのではないかという噂が流れている。もしこれが事実なら、石破総理にとっては頼もしい限りだろう。