古き良き風情を残す静岡県松崎町では、漆喰を使った「なまこ壁」をいたるところで見ることができます。しかし、手掛ける職人は、わずか3人。伝統を守るため町民をあげての取り組みが始まりました。

<左官職人>
「とがらせるというイメージではなく、『なまこ』って海のなまこの形を『なまこ壁』っていうんだけど、蒲鉾って分かる蒲鉾、あのようなイメージで」

静岡県松崎町で行われている「なまこ壁体験講座」です。参加しているのは一般の町民。現役の左官職人が講師を務め、技を見せ、手ほどきします。

<参加者>
「郷土の技術なので、地元にいる以上やはり覚えておいたらいいかなと思って」

<左官職人 中村一夫さん>
Q.町民が興味を持ってくれるのは?
「嬉しいと思っています。けっこう蔵を持っている方がいるからね、この中に…ある程度、自分の古い家の蔵を直すっていう気持ちになるから」

松崎町には日本の原風景ともいえる漆喰を使った「なまこ壁」の景観が残っています。しかし、なまこ壁を手掛ける左官職人は、わずか3人に減りました。

<松崎町蔵つくり隊 山本公さん>
「松崎町には『なまこ壁』の建物が190棟あまりあります。年々維持管理していくことが大変になっていく状況の中で、なまこ壁について知っていただくことと共に、技術を少しでも学んでいただこうということで今回企画させていただきました」

松崎町には漆喰の文化が根付いています。漆喰鏝絵の名工、入江長八。江戸時代末期から明治にかけて「伊豆の長八」と呼ばれ活躍しました。

<松崎高校美術部の生徒>
「この定規、何色に塗る?」
「定規、大体こういうのって…」
「緑とか…」

松崎高校の美術部です。町内の金物店に置く漆喰鏝絵の看板をデザインしました。

<松崎高校美術部 池野有紗さん>
「立体的になるので、なるべく凹凸があるものをデザインしました」

漆喰鏝絵で町を盛り上げようと2021年から商店の看板の制作に高校生が参加しています。

<松崎高校美術部 池野有紗さん>
「町にたくさん漆喰に関わるものがあるので残せていける人が増えていったらいいなと思います」

町民が参加した「なまこ壁体験講座」。仕上げが近づきました。

<職人のアドバイス>
「こういったふうに押さえいかないと、どんどん乾いてしまうから、このまま乾くとこのまま出来上がっちゃうから、つるつるにならないから…」

参加者は、時間を忘れて「なまこ壁」作りに取り組みました。

<参加者>
「簡単なものじゃあないですね。できたら自分の家の壁もやってみたいと思いますが、なかなか難しい」

<松崎町蔵つくり隊 山本公さん>
「やはり先人が大変苦労して作ったということを知っていただくとともに、やはり、それが保存に向けた動きにつながってくれればありがたいなと思っています」

松崎町の「なまこ壁」は文化や歴史、観光の大切な資源です。職人と町民が一緒になって後世に伝えていきます。