高齢化が進む中、大腿骨(太もも)を骨折する人が増えています。骨がもろくなる骨粗しょう症が原因で、さまざまな病気を引き起こしやすくなります。専門の医師に聞きました。

「沈黙の病気」骨粗しょう症、女性患者数は男性の3倍以上

骨粗しょう症は、骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気で、自覚症状がないまま加齢とともに進行します。 骨折して初めて気がつく人が多いため「沈黙の病気」と呼ばれ、特に高齢女性に多く見られるのが特徴です。女性は50歳頃に閉経を迎えると、骨からカルシウムの流出を抑える働きを持つ女性ホルモンの「エストロゲン」が減少し、それが骨粗しょう症の原因の一つとされています。

大分市の明野中央病院には、年間およそ100人が大腿骨の骨折で入院しています。多くの患者を診察してきた整形外科の原克利医師は、骨粗しょう症になると軽いけがでも骨折しやすくなるので、普段の生活から気をつけることが大切と強調します。

原克利医師

(明野中央病院 整形外科・原克利医師)「加齢とともに骨がもろくなり、骨粗しょう症によって高齢者、特に女性がしりもちをついただけで足の付け根を骨折することがあります」

大腿骨骨折は太ももの付け根の骨が折れた状態で、内側の「頸部」と外側の「転子部」の2つに分けられます。高齢化が進むにつれて患者数は増えていて、日本整形外科学会によりますと、全ての年齢を対象にした2022年の全国調査では、女性がおよそ9万人で、男性の2万8千人と比べると3倍以上多いという結果が出ています。