三井住友海上でポイントとなるもう1人が、インターナショナル区間の4区に登場するタビタ・ジェリである。18年全国高校駅伝はアンカーの5区(5.0km)で31秒差を逆転し、神村学園高の初優勝に貢献した。19年の三井住友海上入社後、クイーンズ駅伝4区では3年連続区間3位以内で走っている。鈴木監督は「20秒差なら逆転できる」と、今回のプリンセス駅伝上位候補チームでは、タビタ・ジェリの力が一枚上と見ている。

タビタ・ジェリの爆発力を生かすには、1区の西山が築くであろう好位置を、2区、3区と維持する必要がある。鈴木監督はエース区間の3区候補に松田杏奈(28)と福居紗希(26)を挙げる。

松田の10000m自己記録は32分07秒11だが、今季は33分を切っていない。「移籍して来たときはそんなに走れる状態ではありませんでしたが、そのなかでも北海道マラソン(8月)にチャレンジしたいと、マラソンの練習をやったんです。出場するところまでは行きませんでしたが、その頑張りが9月以降で本来の走りを取り戻してくれました」。エディオンや第一生命グループのエースに10000mのタイムでは劣るが、松田も福居も夏以降の練習がしっかりできている。

他にも野添佑莉(26)、片貝洋美(31)、清水萌(21)、黒川円佳(20)の4人は5000mで15分40秒台の記録を持つ。野添は昨年のプリンセス駅伝で最長区間の3区を、片貝は2年前のクイーンズ駅伝で最長区間の3区を走った選手。2人とも今季はケガもあって万全ではないが、つなぎの区間に登場すれば他チームにはプレッシャーをかけられる。

この中から好調の選手を2区、6区に起用できる。3区選手の10000m記録は他チームのエースに劣るが、1区で好位置を占めれば上位の流れでつなぐことができる。それだけの選手層の厚さがある。そうすればタビタ・ジェリの4区でトップに立つ展開が期待できる。

鈴木監督は通過することだけでなく、「1位通過」を目標とした理由を次のように話した。「将来的にはクイーンズ駅伝優勝に返り咲く目標でやっています。(故障明けの選手がいるなど)どういう状況でもプリンセス駅伝に優勝するくらいでないと、クイーンズ駅伝優勝に向かっていけません。予選だから通ればいいという考えもありますが、トップ通過を目指していけば、できなかったときに、クイーンズ駅伝にこうしていこうと、明確に課題を持てるんです」。

三井住友海上の女王復帰への強い意思が、プリンセス駅伝の走りにも現れる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)