木下大サーカスの公演が9年ぶりに仙台で行われています。
結成120年、活動中のサーカスとしては日本最古の木下大サーカス。そこで活躍する仙台出身のベテランの団員に密着しました。「最高難易度」の曲芸に挑戦し続ける団員の思いとは?
■この道30年「いまも緊張」支えは家族
迫力満点の猛獣ショー。

地上13メートルでくり広げられるアクロバティックな空中ブランコ。

大技が決まると、観客から大きな拍手が巻き起こります。
そんな華やかで厳しい世界に身を置く仙台出身の団員がいます。伊藤一志さん(49)です。

仙台では9年ぶりの公演となる木下大サーカス。伊藤さんは地元での開催に人一倍強い思いで臨んでいます。
仙台出身 伊藤一志さん:
「正直この年齢もあるので、地元で自分の演技を見せれるのはこれが最後かな。だからとにかく大成功して終わりたい。やっぱり他の場所よりは気合いが入ります。そのぶん緊張もするので、ちょっとやりにくい」

19歳で入団した伊藤さんは、今年で30年目です。入団当時、サーカスで披露できるような特技がなかったという伊藤さんは、血のにじむような努力を重ねオートバイショーなどを経験しました。

現在はショーのプログラムを構成する演技助監督を務めながら、日本の伝統芸などに出演しています。
「この仕事は楽しい。他の人の芸を見ても楽しいし、自分でやっても楽しいし、成功しても楽しい。で、失敗したら、『お前何やってんの?』みたいな。ハハハ」
伊藤さんは3年前に同じサーカスに所属する17歳年下の女性と結婚し、今年4月、第1子を授かりました。3か月に1度会場を変え、全国を飛び回るサーカスに身を置く伊藤さん、神戸市にいる子どもに会えるのは月に1回ほどです。

「よく奥さんが子どもの写真を送ってくれるので、それを見てニヤニヤしてます。子どもが物心つくまでは、演技を頑張りたいと思います」

普段は離れて暮らしていても、いつも応援してくれる妻、そして子どもが心の支えです。
その伊藤さんがサーカスの舞台で披露しているのが難易度の高い曲芸です。