全国から約3000人の代表が集結 全人代で首相が読み上げた「政府活動報告」の中身とは?
中国で最高権力機関に位置づけられる全人代には全国の省や軍、少数民族の代表ら約3000人が出席する。各地方に置かれている人民代表大会の選挙によって代表が選ばれていて、日本の国会のように国民の直接選挙で選ばれているわけではない。

開幕日には首相が去年の政府の実績と今年の方針をまとめた「政府活動報告」を読み上げる。その年の政府の予算案や司法機関である最高人民法院、最高人民検察院の活動報告も公表される。最終日には代表による採決も行われるが、否決されることはまずない。
海外メディアの関心が高いのは「政府活動報告」だ。
今年注目を集めたのは中国に対して強硬な姿勢をとるアメリカのトランプ政権への言及である。
李強首相
「一国主義と保護主義が激化し世界経済の循環を阻害している」
李強首相はアメリカを名指しすることはしなかったものの、トランプ政権を念頭に、国際環境が厳しさを増し中国の貿易や科学技術に影響を与える可能性があるという認識を示した。
さらに国内の経済状況についても厳しい見通しを示した。
李強首相
「国内においては経済の持ち直しの基盤がまだ盤石ではなく需要が不足している」
李強首相は「とりわけ消費が落ち込んでいる」と強調。「消費を押し上げるための特別行動を実施する」と宣言した。

超長期特別国債1兆3000億元(日本円で約26兆8000億円)を発行し、消費財の買い替え支援に3000億元(日本円で約6兆2000億円)、設備更新の支援に2000億元(日本円で約4兆1000億円)あてるという。
1年間で約300万店の飲食店が倒産 中国政府も危機感を抱く消費低迷の現場を取材
政府も危機感を抱く消費の低迷。
大きな影響を受けているのが飲食店だ。中国のコンサルティング会社「紅餐」によると、2024年に中国で倒産した飲食店はおよそ300万店にのぼり過去最多を記録したという。
実際、北京市中心部のショッピングモールのなかには多くの飲食店が潰れ、店がそのまま放置されている場所もある。北京市内で話を聞いてみると「外食を減らしている」と答える人が多かった。

北京市民
「景気が良くないので支出を減らそうと思っています」
北京市民
「外食に使うお金は以前と比べて少し減っています。最近はお金を稼ぐのが大変だし貯金しようと思っています」
2月下旬、取材班は北京市郊外の串焼き料理店に向かった。この店は2023年の夏にオープンしたものの客足がふるわず、去年の12月に閉店したという。
この日、店に来ていたのは飲食店を専門に扱うリサイクル業者。倒産した店から厨房の機器を安く買い取り、別の店に販売している。厨房に置かれた冷凍庫やシンクなどを次々と運び出してトラックに積み込んでいく。この日回収された機器は4000元(日本円で約8万円)で買い取られた。

料理店のオーナー
「ビジネスの状況はずっと良くありませんでした。店をオープンするための費用や家賃、人件費なども合わせて2年で200万元(日本円で約4000万円)弱を失いました。いまは不景気なので商売が難しいです」