10日(日本時間)に開幕するゴルフの4大メジャー大会の一つ「マスターズ」。2年ぶりに現地リポーターを務めるTBS喜入友浩アナウンサーが、開幕までの4日間、最新情報などを報告する。(第1回)

2年前、初めてマスターズを現地で見たときに感じたオーガスタの美しさは今年も健在でした。足を踏み入れたときの芝の生き生きとした感触、コースを彩る満開のアザレア(ツツジ)や洗練された伝統的な建物。どこを切り取っても絵になるコースです。

マスターズの象徴でもあるツツジが例年以上に鮮やかに咲いている

マスターズが行われるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは4月の2週目に行われるマスターズのために1年間かけて丁寧に手入れがなされ毎年、最高のコンディションで大会を迎えます。

「世界最高の夢舞台」と称されるマスターズはトップレベルの選手の技術の高さはもちろん、コースの美しさでも多くの人を魅了してきました。私もそのひとりですがその美しさはまさに百聞は一見にしかず。人に伝えるときは「天国」と私は表現しています。

筆者が「天国」と表現する美しいコースと「パトロン」と呼ばれる観客

しかしそれが当たり前ではないということを今回実感しました。マスターズが行われるジョージア州オーガスタは去年の秋、ハリケーン「ヘレン」による甚大なダメージを受けました。

強風で木々が根元から飛ばされ、家屋に突き刺さり、電気や水道が1週間以上止まった地域もありました。

ハリケーンで飛ばされた木々が突き刺さった住宅 2024年秋撮影

街中を取材すると木々が倒れたままになっていたり、修復中の家屋があったり所々でその爪痕が感じられます。

街中にはハリケーンで飛ばされた木々がそのまま横たわる 今年4月撮影

そんなハリケーンの襲来から半年。
こうして無事にマスターズの開幕を迎えられたのはマスターズを主催するオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの並々ならぬ努力とオーガスタという街への強い思いがありました。

そもそもこのオーガスタという街はハリケーンの進路に入ることがなく、長くこの町に住む人に聞いても「生まれてからハリケーンを経験したことがなかったからどんな備えをすればいいのか分からなかった」といいます。

未曾有の被害が発生したあと、いち早く動いたのはオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブでした。コースも木々が倒れるなどの被害がありましたが、コースの復旧よりもまず街の復興を第一に考え、地元に500万ドル(約7億3390万円)を寄付したほか、食事や水を被災地域に届けるなどの支援を行いました。

復興半ばで迎える89回目のマスターズ。
地元の人も「このマスターズを成功させて、復興の弾みにしたい」と話します。
美しいコースはハリケーンを乗り越えた街のたくましさの象徴でもあります。

風が勝負を分けるマスターズ名物「アーメンコーナー」

そんな世界最高の夢舞台で今年はどんな名勝負が見られるんでしょうか。
日本の松山英樹選手は6日(日)にコースに入り、18ホール練習ラウンドを行いました。前週のトーナメントは予選落ちとなりましたが、いち早くオーガスタに入り、準備を淡々と進める姿が印象的でした。

6日練習ラウンドを行う松山英樹。2021年以来4年ぶりの優勝を目指す

開幕は10日(木)。ぜひオーガスタの美しさとともに世界最高峰のプレーをお楽しみください。