山口県田布施町にある桜並木はまさに満開。
春の風物詩を楽しむ人の笑顔も印象的です。

しかし、その多くが植えられて60年以上の老木という問題がありました。
まちを象徴する景色を「未来に残したい」と願う地域の人々と、思いに寄り添う企業の取り組みを取材しました。

まちの中心を流れる、田布施川。
川に沿っておよそ1.5キロにわたり、350本を超えるサクラが植えられてます。

訪れた人
「とってもきれいですてきだと思います」
「長くサクラがずっとあるので、どこ見てもサクラですてきです」
「けっこう毎年来てますね。子どもが生まれたばっかりなんで見せてあげたいな、みんなで写真撮れればって思ってます」
6日、「たぶせ桜まつり」が開かれ、県内外から訪れたおよそ4万5000人が春の風物詩を楽しんでいました。

これらのサクラは1950年ごろから、まちの人たちが植えていったものです。

田布施町 経済課 岡本三穂さん
「今年がちょうど町政70周年に当たるんですけども、昭和30年代というのが今の田布施町になったころですので、やっぱりその町のシンボルと、新しくなるようなものとして植えられていったのではないかなと思います」

その思いのとおり、今ではまちを象徴する景色となりました。
町の管理だけでなく、「田布施さくら保存会」による草刈りや清掃活動で美しい景観は保たれています。

田布施さくら保存会 田縁和明 会長
「私たちが維持・管理していかなきゃいけないということで、継続的に守っていこうということでやりました。みんなにとっちゃ本当の宝みたいな楽しめるものですね」
一方で、多くのサクラが植えられて60年以上の老木という問題もあります。

おととし、この桜を診た田布施町出身の樹木医・中村義博さんは、手入れの必要性を強く感じたといいます。

樹木医 中村義博さん
「けっこう痛んでる。腐朽が入って腐ってたりしてるところもありますし、枯れ枝も多かったものですから、そういう面ではちょっと危惧されるところが多かったかなという風には思いますね」

サクラは病気や虫に弱く、手入れをしないと寿命が短くなります。
肥料をまくことのほか、防除や消毒、草刈りなどは欠かせないと言います。
町は、消毒や枝切りなど毎年およそ90万円の予算を確保していますが、長くサクラを保存していくため「管理をしっかりしていくこと」が課題となっています。
このサクラを未来に残そうと、町は、ある企業の取り組みに参加することにしました。
関谷名加 アナウンサー
「春の花見に、夏の花火大会…人口減少や資金不足で全国的に季節の風物詩がなくなる危機にさらされています。そのような中、支援を行っているのはこちらです」

キリンビールが手がける「晴れ風ACTION」。
ビール「晴れ風」の売り上げの一部を使って、日本の風物詩を守っていこうという取り組みです。

「晴れ風」を買うことで自動的に全国の自治体に寄付されるほか、専用のサイトから、自分で選んだ自治体へ寄付することもできます。
田布施さくら保存会 田縁和明 会長
「晴れ風ACTION、私はすごく嬉しかったですね。肥料をやったりですね、そういうものに使いたいという風に思ってます」
田布施町 経済課 岡本三穂さん
「晴れ風ACTIONは、お金の部分はとてもありがたい。全国的に取り組まれていることですので、みなさんにサクラがどういった状況なのかということを知っていただけるというとてもよい機会になっていると感じてます」

さらに「晴れ風ACTION」の一環で、「桜AIカメラ」という取り組みも始めました。

スマートフォンで撮影したサクラの健康状態や樹齢をAIが判定し、位置情報とともに全国の自治体に届けるものです。
樹木医にも共有されます。
樹木医 中村義博さん
「桜AIカメラは、ひと言で言えば大変いい取り組みだとは思います。私も使ってみましたけれど、一般の人がサクラに対して、そういう興味を持ってもらう、あるいは目を向けてもらうっていう面では、すごく有効なアプリというか有効なものだという風には感じます」
町にゆかりのある人も、取り組みに期待を寄せています。
町ゆかりの人
「岩国の錦帯橋に負けない美しさがあって、毎年楽しみにしてます。晴れ風ACTIONはありがたいですね、やっぱり。田布施を盛り上げる意味で」
「晴れ風ACTIONを応援できたらと思います。この子が大きくなっても、こんな風に咲いてたらいいなと思います」
「まちを象徴する景色を未来に残したい」。

まつりの盛況ぶりに思いを強くしたようです。

田布施さくら保存会 田縁和明 会長
「本当、私どもが一生懸命管理して、この花がきれいに咲いて、それを見てくださるということで、大変うれしく思っています。本当にありがたいことです」

樹木医 中村義博さん
「日本人の心に深く染みついてるサクラですので。できるだけ長く楽しんでもらえたらいいなという風にはいつも思っております」

まちの人の思い、そして、取り組みを支える企業。
新たなコラボレーションが、地域のシンボル、季節の風物詩を未来へとつないでいきます。
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