自動車のアメリカへの輸出額は約6兆円。今後、この金額が大きく減ってしまい、経済に影響が出てしまう可能性があります。私たちの食卓にさらなる値上げの波が来るかもしれません。

“トランプ関税”日本への影響は

出水麻衣キャスター:
財務省の貿易統計によりますと、2024年の対米輸出の総額は約21.3兆円で、このうち自動車関連が3割以上を占めています。

【日本の対米輸出(2024年)】
総額 約21.3兆円のうち
・自動車:約6兆円(約28%)
・自動車部品:約1.2兆円(約6%)

アメリカ市場では日本車が非常に人気で、販売ランキングをみると1~10位の間で日本車が5車種もランクインしています。

【2024年 米国内の自動車販売ランキング】
1位:フォード Fシリーズ
3位:トヨタ RAV4
5位:ホンダ CR-V
8位:トヨタ カムリ
9位:日産 ローグ
10位:ホンダ シビック
(アメリカメディアより)

そんな日本の基幹産業といわれている自動車を揺るがしそうなのがいわゆる『トランプ関税』です。

3月26日、トランプ大統領は「アメリカで製造されていない、すべての自動車に25%の関税を課す」と明言しました。

アメリカは、日本を含む全ての輸入自動車に25%の関税を上乗せすることになっています。

今後、日本は現在の関税2.5%にプラス25%が追加され、合計27.5%の関税が課されることになります。

トランプ大統領は日本時間3日午前5時に会見を開き、その後「直ちに発効する」と述べています。待ったなしの状況ですが、日本にはどのような影響があるのでしょうか。

経済評論家 加谷珪一さん:
日本の基幹産業といわれる自動車産業は非常に裾野が広い業種です。

【日本の自動車産業】
・自動車関連の就業者 558万人(全就業者の8.3%
・裾野の広い自動車産業(製鉄・化学工業・電機など)
※日本自動車工業会HPより

例えば製鉄業界の売り上げの結構な割合が自動車向けの鉄鋼ですし、化学工業はタイヤなどを製造していますので、自動車産業がないと成り立たないという面があります。

半導体も自動車はたくさん使用しています。自動車(の製造)だけの問題では済まないのです。

日本の自動車産業はGDPの約1割、約63兆円産業で、その中の結構な割合がアメリカ向けの輸出になるので、これで車が売れなくなってしまうと、今すぐではないかもしれませんが、じわじわと国内の経済全体にマイナスの影響が及ぶのではないかとみています。

井上貴博キャスター:
トランプ大統領は「車を売りたいんだったら、アメリカに工場を作りなさい」という考えですが、今後、大統領が変ったらこの方針も変ってしまいますよね。企業判断としてはとても難しいと思います。

肉乃小路ニクヨさん:
そうですね。もしトランプさんの次の大統領が『関税を下げる』という方針になったら「もう何だったんだ?」ってなりますよね。

アメリカはただでさえ人件費が高い国ですので、生産コストも上がるので、そういった面も大丈夫なのかなっていうのはすごく考えますね。

出水キャスター:
トランプ大統領も「なるべく価格は上げないで欲しい」と既に注文をつけています。そのあたりは各メーカー、価格に乗せてくるのでしょうか。

経済評論家 加谷珪一さん:
トランプさんの注文以上に値段を上げると(車が)売れにくくなるので、各メーカーはとりあえずは我慢すると思います。

その中でどれだけコスト削減できるのか努力をした上で、ある程度、今の状況で関税がかかっても販売を維持できる努力はすると思います。

ただ長期化すると、じわじわと業績に影響が及んでしまいます。日本政府や自動車業界が何らかの交渉ができるのか。長丁場になりますが、そのあたりが注目点だと思います。