その先に“教団の解散”もあるのでしょうか。旧統一教会をめぐり、岸田総理大臣は、教団に対する調査を実施することを表明しました。

■「メディアに出ないで」信者の元夫宅を突然訪問

元妻による旧統一教会への高額献金などが原因で家庭が崩壊し、長男が焼身自殺した橋田達夫さん(64)。


今月16日、教団の「教会改革推進本部」の責任者である勅使河原本部長が、突然、高知県の自宅を訪ねてきたといいます。

元妻が入信 橋田達夫さん
「(勅使河原氏は)『あなたはもうメディアをやめて下さい』って僕にはっきり言いました。『私たちがどうして悪いことしているんですか』って」

12日、野党の合同ヒアリングで教団に翻弄されてきた体験を語った橋田さん。

橋田さん
「統一教会というのは本当にね、お金を取るだけで信者なんかどうでもいい。僕の目から見たら」


前触れもなく突然訪問し、メディアへの発信を止めようとする教団幹部の行動に対し、憤りを隠せません。

橋田さん
「僕は負けませんよ、絶対に。そんなやり方が今の時代まだ通用すると彼ら思っているんですよ」


こう言い残し、橋田さんは、17日行われた衆議院の予算委員会を傍聴するため、国会へ向かいました。

■旧統一教会を調査へ 岸田総理が突然の方針転換

その国会では…

岸田総理
「宗教法人法第78条の2に基づき、報告徴収、質問権の行使に向けた手続きを進める必要があると考えており、文部科学大臣に速やかに着手させます」


岸田総理は、教団への調査を実施する方針を明らかにしました。

消費者庁が設置した対策検討会がまとめた報告書では、旧統一教会について、「解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法に基づく質問権などを行使する必要がある」と提言しています。


宗教法人法に基づく「質問権」は、オウム真理教の一連の事件をきっかけに1996年の法改正で盛り込まれた規程で、行使されるのは初めてのことです。

今後、永岡文部科学大臣が、宗教法人審議会に調査の実施を諮問。所轄庁職員が教団内の調査を進め、法令違反などが確認されれば、裁判所に「解散命令」を請求します。仮に解散を命令した場合、税制上の優遇を得られる宗教法人格を剥奪されることになります。


これまで解散命令が出された事例は、オウム真理教と霊視商法詐欺事件を起こした明覚寺の2例しかありません。

“信教の自由”を理由に、政府はこれまで消極的な姿勢を示していました。

文化庁宗務課長
「宗教法人本体については何の刑事上の対応がなかった。現在はなかなか解散命令を裁判所に出してもらう状況じゃない」

岸田総理も…

岸田総理(5日)
「信教の自由を保障する観点から、解散命令の請求については判例も踏まえて慎重に判断する必要があると考えている」


今回、岸田総理の突然の方針転換にある与党議員は…

自民党中堅議員
「世間の関心を(旧統一教会のイベントで)どの政治家がどこで挨拶したかということから、調査のことに逸らしていくことが狙いだ」