ブラジルのルラ大統領は、24日から国賓として訪日するのを前に、第二次世界大戦時に日本人らが迫害された歴史について、初めて謝罪しました。事件から80年余り、当事者たちの思いを聞きました。
今月18日、JNNのカメラの前に姿を見せたルラ大統領。80年余り前のある事件について、初めて大統領として自らの口で謝罪しました。
ブラジル ルラ大統領
「謝罪の気持ちを持っています。謝罪は自分たちの過ちを認める最低限の行為ですから」
第2次世界大戦中の1943年、連合国側だったブラジル政府は南東部サントスに住む日本人ら6500人に対し、強制退去命令を執行。財産を没収するなど迫害行為をおこないました。
これに対し、ブラジル政府は去年7月、公式に謝罪しました。
いまもサントス市内に暮らす当山正雄さん(103)。事件当時は22歳で、外出中に警察から強制退去を命じられました。
当山正雄さん
「(強制退去命令は)ブラジル政府が原因ですから、日本人は何も持たずに追い出され苦労したんです」
着の身着のまま、鉄道駅へ連行され、移民収容所に列車で送られて、町に戻るまで4年の月日がかかりました。
今回、ルラ大統領が謝罪を行ったことについて。
当山正雄さん
「(謝罪は)良いことです。私たちの一助になりました。でも、当時の戦争のせいであって、ルラ大統領が悪いわけではないですから」
謝罪に感謝しつつ、“つらい歴史を二度と繰り返してはいけない”、と複雑な胸の内を明かしました。
この問題を追及してきた地元のジャーナリストは。
ブラジル日報編集長 深沢正雪さん
「みんな、子孫、本人も(思いを)抱えながら生きてきた80年間だったんだろうなと。(大統領の謝罪で)この事件の子孫の皆さんの心の安らぎにつながってくれれば」
ブラジル ルラ大統領
「私は、将来の日本とブラジルの関係を考え、懸念材料を払拭するよう努力していくつもりだ」
来週、国賓として訪日するルラ大統領。過去の歴史と向き合いつつ、日本との新たな関係をどのように構築していくのでしょうか。
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