野菜におコメ、家計に重くのしかかる“値上げの波”…。そんななかあえて“値下げ”に乗り出すスーパーもあります。その安さには理由があるようです。
“値上げ時代”にあえて“値下げ” 安さの理由は?
井上貴博キャスター:
続く物価高にダメージを受けているのは我々消費者だけではなく、事業者も同じです。東京都の小売価格は5年前とどのくらい値段が変わったのでしょうか。

【コシヒカリ(5キロ)】
▼2020年2月:2455円
▼2025年2月:4363円
【ティッシュペーパー(5箱)】
▼2020年2月:362円
▼2025年2月:480円
【ガソリン】
▼2020年2月:148円
▼2025年2月:184円
【食用油】
▼2020年2月:289円(1000グラム)
▼2025年2月:402円(900グラム)

このような状況の中で業務スーパーが4月30日まで「ニコニコ感謝セール」と題し、25周年を記念したセールを行っています。約400商品が最大で20%引きになります。
鶏竜田揚げ 1キロ:807円→645円
豚生姜焼き 500グラム:483円→451円
こめ油(1リットル):483円→408円
スパイシーキーマカレー(180グラム×3):321円→278円
※店舗によって取り扱いが異なる場合もあります
業務スーパーはどのようにして値下げを実現できているのでしょうか。

▼問屋を通さず直接仕入れ
→自分たちで仕入れを全て行っているため、中間マージンを取られない
▼国内のグループ工場で製造
→プライベートブランドの商品が安い。
▼ダンボールで陳列
→仕出しの手間を省き人件費を削減。

さらに、企画立案から得た独自のデータで売れ筋商品を大量生産し、「さらなる安さ」を実現することが出来るそうです。
業務スーパー広報の高木明日香さんは「セール商品と一緒に他の商品を“ついで買い”してもらえれば…」と話します。
ホラン千秋キャスター:
モノの値段、人件費、物流費も上がっています。いろいろなものが上がっているので、値上げしてしまうのは仕方がないと思いますが、家計は大変ですね。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
業務スーパーなどはフランチャイズが多く、プライベートブランドは自分たちが問屋のようになっています。今まで日本の物流では、中間が多かったのですが、このようなものが減っている企業が対応できるのかなと思いました。
ホランキャスター:
企業からすると客からは「安くしてくれ」と期待され、それに応えたいと思いながらも応えきれない部分もあるのでしょうね。
今村翔吾さん:
企業の人たちも家に帰れば消費者になるわけですから、どちらの気持ちもわかると思います。消費者的には、この声が何年か前と比べたら一気に上がっていることを実感します。

井上キャスター:
大手企業は体力があり、ある程度値下げができますが、個人商店や中小企業は特に厳しい時代に入ったと言えます。
客は「“お得感”がある店で買いたい」ので家計防衛の意識が強まります。一方、スーパーは「“お得感”がないと売れない」ので、他店との競争意識が強まります。
流通経済研究所の池田満寿次上席研究員によると「店によっては目玉商品を仕入れ価格より安く売ることもある。スーパーも消耗戦になっている」ということです。