母子での生活 成長と葛藤

産後2か月で以前の施設を退去し、札幌の母子生活支援施設に移り住んだゆきさん親子。

母子生活支援施設には、夫のDVから逃げたり、予期せぬ妊娠などで夫がいなかったり、事情のある母子が入居している。

基本的に家賃はかからない。ゆきさんが生活している施設は、20世帯の親子が入所できる独立した個室と、子どもが遊べる共用スペースなどを備えている。施設の職員が、緊急時の子どもの預かりや、育児のサポートなどもしてくれる。

ゆきさんは、この場所へと身を置くことで、施設の職員やほかの母親もいる環境で、社会的な孤立からは免れることができた。

一方で、母親を過度に甘やかさず、親子の「自立」を促すという。

ゆきさんに対しても、部屋でバランスのいい食事を心がけるために一緒に料理をしたり、娘の世話を手助けしたりするなどの積極的なサポートを行っている。

しかし、ゆきさんは、娘と2人で、一日の大半を部屋で過ごすことも多い。

ゆきさん(当時23)
「かんしゃくを起こしすぎちゃって、ミルクも飲まないし、寝ないし、眠たいし、おなかもすいているけど、3時間くらいぶっ通しで泣いてて。本当にひとりで見なきゃいけなくて、それが大変というか、ちょっとイラっとしちゃった」

保育園に入園させるまでの1年間、育児の記録をつけることにしていた。

ゆきさん(当時23)
「退院した時から書いている。ミルクの時間、量、排泄回数を書く。見えやすい方がいいかなって思って」

ゆきさんには、小学生の頃からリストカットをするなど、不安定な部分があった。出産後、精神科を受診し、躁うつ病と診断された。

5か月後、娘は1歳を迎えた。ハイハイして、笑って、立って。一歩一歩、できることが増え、成長している。

生まれてから1年間綴っていた日記は、ひとつの区切りの365日目を迎えた。ゆきさんが、子育ての中で生じた、葛藤を打ち明けてくれた。