提訴から13年余り、伊方原発の運転の可否をめぐる司法判断が示されました。伊方原発3号機について、愛媛県内の住民などが運転差し止めを四国電力に求めていた裁判で、松山地裁は18日、原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
この裁判は、2011年3月に起きた福島第一原発の事故を受け、伊方原発でも重大事故が起きる可能性があるとして、県内の住民などが四国電力に対し3号機の運転差し止めを求めていたものです。
2011年12月に訴えを起こして以降、追加の提訴が続き、原告の数はおよそ1500人に増えました。
裁判で原告側は「伊方原発の近くにある活断層=中央構造線断層帯の調査や、阿蘇山など火山の噴火を想定した対策が不十分」などと主張したのに対し、四国電力は「最新の科学的知見を踏まえ、地震や火山など様々な災害を想定した安全対策をとっている」と反論していました。
18日の判決で、松山地裁の菊池浩也裁判長は「四国電力による中央構造線断層帯の把握や地震の想定に不合理な点はなく、原発の運用期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分に小さい」などととして、原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
原告側・須藤昭男さん
「本当に残念でなりません。絶対に勝つと思っていました」
原告側は、控訴する方針を示しました。
一方、四国電力は…。
四国電力原子力本部 佐々木広行副部長
「今回の判決は、伊方発電所3号機が安全性を確保していると、当社のこれまでの主張につきまして裁判所に認めていただけたと思っている。引き続き安全性の向上に終わりはないと肝に銘じて、伊方発電所の安全確保に不断の努力を重ねて、今後とも安全・安定運転に万全を期す」
判決について、愛媛県の中村時広知事は「司法の判断に関わり、県は当事者でもないことからコメントは差し控える」とした上で「四国電力には、今後とも決して事故を起こさないという心構えのもと、安全運転を継続し、県民の信頼回復に務めてもらいたい」とコメントしています。
また、伊方町の高門清彦町長は「四国電力には『安全対策に終わりなし』の強い信念のもと、最新の知見に基づく安全・防災対策を徹底し、町民の信頼向上、更なる安全強化に努めてもらいたい」とコメントしています。
伊方原発3号機の運転差し止め訴訟は、大分、広島、山口でも起こされ、住民側の敗訴は、大分、広島の各地裁に続き松山が3例目です。
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