青森県内では今週に入り、特殊詐欺につながる不審な電話が相次いで確認されています。
こうした詐欺の被害をどうすれば防げるのか。2021年、青森市の女性のもとにかかってきた電話の音声をもとに対策を取材しました。
※犯人
「お世話になっております。○○市役所年金保険課のイケダと申しますが、こちら○○さんのご自宅で間違いなかったでしょうか」

こちらは去年、青森市内に住む女性にかかってきた還付金詐欺の電話です。青森県警察本部が、公式YouTubeで音声を公開しています。

市役所職員のイケダと名乗る男は、最初から還付金のことは持ち出さずにあえて、市役所からの通知が届いているかを確認していました。

※犯人「累積保険料払戻申請書といった書類があったのですが」
女性「えっ」
犯人「こちらご返信いただく書類だったんですけども」
女性「はい」
犯人「確認が取れていないのでご連絡させていただいております」
女性「どんなものでしたっけ」
犯人「青色のA4サイズ、ノートくらいの大きさの封筒です。」
こうした手口について、県警察本部生活安全企画課の廣島信二課長は、手続きを具体的に説明していることが巧妙だと指摘します。
※青森県警生活安全企画課 廣島信二課長
「還付金などの手続きを採っている自治体もあるので、それを犯人が真似てやっているんだと思います。丁寧な言葉でゆっくりと説明をして信頼感を得ていると感じました。」

女性が市役所からの通知が届いていないというと、男はようやく、年金保険料の過払い金について切り出しました。

※犯人「○○さんから月額で500円前後多く頂いていた保険料がございまして、累積金額が○○さんのご世帯ですと…3万2400円ですね。」

このあと男は、金融機関で還付金の手続きをするよう誘導しようとします。

※犯人「役所の方から金融機関に払戻しの依頼というのをかけまして依頼が受理された後に金融機関の担当者の方から○○さんの方にご連絡が入る形を作らせていただくのですが」
女性「はい」
犯人「払い戻しをご希望されるという形で大丈夫ですかね」
女性「いいです。大丈夫です。」
女性はなぜ、被害に遭わずにすんだのか。
その理由について、廣島(ひろしま)課長は、冷静に対応して相手のペースに乗らなかったことをあげています。
※廣島課長
「一旦電話を置いて郵便物を確認している。考える間を持ったことがすばらしいと思う。」

※犯人「年金保険課という所から送らせていただいています。」
女性「青い袋ですか」
犯人「青い大きい袋です」
女性「ちょっと待ってください。もしもし、見当たらないんですけど…」

こうした特殊詐欺につながる不審な電話は、いま、青森県内で相次いでいて、今週だけでも、津軽地方で18件確認されていました。
いずれも被害はありませんでしたが、警察官を名乗る人が「逮捕した犯人があなたのキャッシュカードを持っていた」などと告げていたといいます。

※廣島課長
「電話やメールでいきなり未払金の支払いやトラブル解決を名目にお金や電子マネーを求める話はまず詐欺を疑って家族や警察にいったん相談してください。」

犯人の巧みな話術にのらないためには、一度、電話を切り事実か確かめることや家族と相談するなど冷静さを保つことが大切になります。
特殊詐欺につながる不審な電話は、さきほど、三沢警察署が三沢市内で13日、同様の電話が確認されたと発表しました。あらためて、お気を付け下さい。
そして、こちらが、今年の特殊詐欺の被害件数です。

被害件数が25件で、去年の同じ時期より13件減っていますが、1件あたりの被害額が大きく、2021年より約900万円を増えています。
限度額がある口座振り込みの被害は少なく、宅配便が送金方法に多く使われているためと見られています。
対策として有効なものは、まず、留守番電話を設定すること、また、不審な電話がきたときの対応を事前に決めておくこと。

家族や警察に相談することなどです。こうして準備をすると、いざという時に冷静に対応でき被害を防ぐことになります。
