津波に流され3時間も海を漂流
及川さんが勤務する消防署は海から1.5キロ。車の避難誘導にあたっていた際、津波を目の当たりにしました。

及川淳之助さん:
「ここで(内陸部の)登米市の方から来る車を高台に誘導していた。『津波だ』と言われた時に私は海側を背にしていたので分からなかったんですよ。振り返ったら山の高さのように見えたんです。正面から見てるからスローモーションで来るような感じだった」

町を飲み込む津波は、及川さんがいた消防署にまで押し寄せました。

及川淳之助さん:
「(想定は)6mをちょっと超えたくらいだと思います。消防署の2階に上がれば大丈夫かなという認識はあった」

しかし、津波はその2階にまで流れ込みました。及川さんは、割れた窓ガラスから外へ飛び込んだといいます。

及川淳之助さん:
「ちょうど飛び出した瞬間にタイヤが流れてきてそれにつかまった」

消防署があった場所から流された後、引き波によって湾内へ。距離にしておよそ10キロ。3時間もの間、海を漂流した後、中学校のそばまで流されました。

及川さんが流れついたのが、南三陸町立戸倉中学校です。校舎やグラウンドにも津波が押し寄せていました。及川さんは、最後の力を振り絞り、助けを呼んだといいます。

及川淳之助さん:
「『助けてくれ』と言ったんでしょうね。人が寄ってきて両脇を抱えられたら、また記憶がない」