東日本大震災の発生から14年です。津波に流されながら一命をとりとめた元消防士の男性は、宮城県気仙沼市で「震災遺構・伝承館」の館長に就任し、自らの経験を若い世代に伝えています。あの日、命の危機が迫っていた男性を救ったのは中学生たちの「勇気ある行動」でした。

及川淳之助さん:
「ドキドキしますね。当時の私の状況を聞きたいなと思って」

宮城県気仙沼市の震災遺構・伝承館で館長を務める及川淳之助さん(70)。この日、ある人を待っていました。訪ねてきたのは、岩手県に住む佐藤裕さん(28)です。及川さんにとって佐藤さんは、忘れることのできない存在。2人の出会いは、14年前に遡ります。

及川淳之助さん:
「あの頃は56歳だった。流されていくとき自分の人生は終わりだと思った。『短かったな俺の人生』と思って流されていった」

及川さんは東日本大震災当時、南三陸町の消防署に勤める消防士でした。2011年3月11日、非番だった及川さんは、自宅から消防署にかけつけました。