完成後のトンネルでの厚さ不足は過去にも

トンネル完成後にコンクリートの厚さ不足が見つかったのは、過去にもありました。和歌山県串本町と隣接する那智勝浦町とをつなぐ、全長710mの「八郎山トンネル」では、2022年9月に完成、引き渡し後、照明工事の際、コンクリート内部に空洞があることが判明、コンクリートの厚さが不足している箇所が複数あることもわかりました。設計上、厚さ約30センチ必要な所が最も薄い所でわずか「3センチ」しかありませんでした。この他にも鋼材が適正な位置からずれているなど、複数の施工不良が発覚しました。
このトンネル工事では現場所長らによる書類改ざんや、厚さ不足であることを把握しながらも工事を継続するなどなどずさんな実態が発覚しました。また、工事途中で行われる「段階確認」も136回中6回しかできておらず、担当した県職員は「検査の際に施工業者からの連絡があるのが基本だが、その連絡がなかった。連絡が少ないことに組織として認識ができていなかった」ということです。