福島第一原発事故をめぐり、東京電力の旧経営陣3人が、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されていた裁判で、最高裁は、検察官役の指定弁護士の上告を棄却しました。これにより、3人に無罪を言い渡した1審と2審の判決が確定します。

強制起訴されていたのは、東電の勝俣恒久元会長と、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3人です。3人のうち勝俣氏は、去年10月に亡くなり、裁判は打ち切られています。

勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長

3人は、福島第一原発の津波対策を怠り、双葉病院の患者など避難を余儀なくされた44人を死亡させたとして、2016年に強制起訴されましたが、1審と2審で無罪判決が言い渡されていました。

裁判の争点は、旧経営陣が津波を予見し、事故を回避できたか。このポイントとなるのが、国の地震予測「長期評価」の信頼性でした。1審と2審では、この長期評価の信頼性を否定。最高裁は「高裁の判断が合理性を欠くものと考えるのは困難」としました。