「世界で通用する選手が生めたら」

1本目が終了し、選手たちのプレーを振り返りながら慌ただしく昼食を済ませ、2本目のセレクションへと向かうダニエルコーチ。実は、長野県在住のダニエルは朝3時には自宅を出発している。しかも、この日は高速道路の事故渋滞に巻き込まれ横浜に到着したのはセレクション開始の30分前だった。そんな多忙なスケジュールの中でも新しい発見に出会い、喜びを噛み締める。

「今の日本のトップ選手も受けに来てくれているし、全く知らない方もいた。これからの選手が来てくれて嬉しいし、テニス歴がすごい人もいるので、伸び代がどこまであるのか予測は難しい。今日、ピックルを初めての人もいたけど、3時間で上手くなったし、すぐ伸びるものだなぁと」

選考するコーチ陣

藤原コーチは2回目のセレクションの挨拶で「ピックルボールが普及、発展し、世界で通用する選手が生めたらいいな。応援してもらえる選手もみたい。ピックルボールの楽しさを全身で表現してほしい」と檄を飛ばした。

選考メニューは、基礎練習に始まり、ダブルス・シングスといった試合形式での練習が続く。ダブルスの試合が最も力量を測りやすいとコーチ陣は語る。試合はメンバーを入れ替えながら、各プレーヤーの特徴を細部まで見極めていた。ダニエル、藤原の両コーチに加え、西村尚也コーチ(34)もアシスタントに加わり、選手ひとりひとりのチェックに割く時間も増えた。時折、コーチたちが選手に声をかけながら、人柄や競技にかける想いなどを聞いている姿も多く見られた。

ディンクショット

昼からのセレクションは、雲行きが怪しくなってきた。運営スタッフらは、15時以降のセレクションの実施可否判断に頭を悩ませる。13時過ぎ、横浜市戸塚区のKPI-PARKには「にわか雪」が降り始めた。足元が滑ることを危惧してメニューも変更された。動き回るプレーを少なくするため、ディンクショットのダブルス戦を中心に練習が進んだ。コーチらは臨機応変に対応しプロジェクトを続行しなければならない。幸い雪は降り積もらなかったが、限られた時間で参加する選手たちのためにも、これからも沸き起こる様々なアクシデントを乗り越えねばらならないだろう。