
母 北村千鶴さん「中学校の時に学校内の部活動でトラブルがあって、行けなくなっちゃったんですね。食べることも、お風呂に入ることもできないっていう」
通信制の高校を卒業した後、最初に通った福祉施設は長く続かず、5年ほど前、PICFAの門を叩きました。初めて訪れた時のことを、施設長の原田啓之さんは鮮明に覚えています。

PICFA 原田啓之施設長「北村君はコミュニケーションがとても苦手なので、(付き添いの人が)『私に話してください』って。なかなか慣れている人じゃないと返答が難しいので、一回介して話していた。(PICFAに)『来るんだったら、覚悟を決めてこないと創作はできんよね』って話をして…もう俺、ぶっちゃけ来んかなって思ったっちゃん」
◆切り絵がきっかけに
母 北村千鶴さん「休んでることもしょっちゅうあったんですね。PICFAさんから『顔出しだけでもいいから来てよ』って電話がきたら、『ん~』って迷いながらも、途中で電車降りながらも行った感じですね」
人混みが怖くて、わずか5駅先までの電車にも乗れませんでしたが、少しずつ克服。PICFAに通い続ける中で、絵を描き始めるきっかけが訪れます。

PICFA 原田啓之施設長「お母さんから泣きながら電話があったんよね。『切り絵をやってみた』って言って見せてくれましたって。ここまでできるんやったら『ステンシルっていう技法があるからやってみる?』って…」
施設長の原田さんは、アートの経験がない北村さんに、デザインをくり抜いたシートにスプレーで色を吹き付ける「ステンシルアート」を得意とする博多絵師・雄猿さんを紹介しました。
◆「師匠」との出会いで大きな変化が
博多絵師 雄猿さん「最初の印象って…全く目を合わせんでしょう、目合わせん、顔も見らん、返事もせん、よくないですよね」















