■「ロシアが劣勢のままこの戦争が続いていく可能性が高い」

国山ハセンキャスター:
今回の爆発を発端とした大規模攻撃を受けて、西側諸国による軍事支援の動きというのも加速しています。ドイツ国防省はウクライナに4機供与する予定の最新の防空システムの最初の1機を輸送すると発表しました。またアメリカのバイデン大統領も高度な防空システムなどの軍事支援の継続を約束しています。

小川キャスター:
そうした中で、ウクライナをめぐる情勢は今後どう展開していくとご覧になっていますか。

小泉悠さん:
やはりプーチン大統領は戦争をやめるつもりが全然なさそうですよね。ウクライナとしてもようやく反攻作戦がうまくいき始めたというところで、(戦争を)止めるインセンティブはないとすると、ロシアが劣勢のままこの戦争が続いていく可能性が高いと思います。ロシアは動員もかけているんですけど戦況をひっくり返すに至っていませんし、兵器がどんどん古くなっていくわけですよね。予備の兵器を引っ張り出して戦っているわけですけど、ウクライナは西側から新型の兵器がどんどん供与されてくるので力の差が出てくるわけです。ロシアが簡単にボロ負けするとも思えませんが、かといってまた戦況を大きくひっくり返して首都キーウを狙いに行くとか、そこまでの逆転って考えられないですよね。そうするとなかなか終わらずに続いていくという見通しが出てきてしまう気がします。

■ロシアの“核使用”の可能性は?

小川キャスター:
そうすると追い込まれたロシアがより暴力的な兵器、つまり核兵器などの使用に踏み切る可能性というのは高まっているのでしょうか。

小泉悠さん:
この戦争が始まった当初に比べると高まっていると思います。通常戦力で勝ててないわけですよね。動員もしたけど勝ててないんだとすると、力の行使をエスカレートさせることは考えられるんですけれども、ただこれまで何で核を使えなかったかということを考えてみると、それがNATOとの直接対決になるかもしれないという恐れとか、脅しのために限定的に使ってみる程度ではウクライナは降参しないんじゃないかとか、いろんな恐れがあったから使えなかったと思うんですね。この事情は変わっていないので、現在にいたってもロシアが今すぐにでも核を使うんじゃないかという差し迫った状況にはまだなっていないと思っています。

小川キャスター:
終わりが見えない中で緊迫した状況が続いていくということになりますね。

(『news23』 10月11日放送より)