トップを目指すため、人間性も加味 

3回のトライアルが終了し、日も暮れたあと、ダニエルらはこの日の選考をはじめていた。翌週にもセレクションが行われるので、仮の選考ではあったが熱のこもった議論が繰り広げられた。選考のポイントは、プレーだけではない。サポートスタッフへの挨拶の様子なども加味されていた。ただ強いだけでなく、人間性もしっかりしていなければトッププレーヤーとして成長できないと考えられている。日本のトップを目指すため総合的な視点で選考することが必要なのだ。

ダニエルは「スポーツの世界は何百人にひとり成功するかしないか。僕も現実はわかっているのですけど。まずプロになりたいという気持ちがなければ始まらないですし、成功しなくても得られるものはいっぱいある。人間としてその選手たちが育って、よりピックルと人生を楽しめれば、このプロジェクトは失敗ではない」と語る。そして、セレクションの初日を終えて、早くも世界で活躍する日本人選手を想像し始めていたが、「想像はしちゃうけど、その前に厳しい道が待っていると。簡単ではないけど、楽しみでしかないね」とクラブハウスを後にした。

2月22日、第2回のセレクションが行われていた。そこには初回の2倍の挑戦者がコートに降り立っていた。選考の結果は、2月28日までに通達される。
(#2へ続く)

■グローバルトッププロ育成プロジェクト
書類審査のほか、2025年2月15日と2月22日に、実技審査を実施し、男女各6名の選手を選出。選ばれた選手には、専門的なトレーニング環境と総合的なサポートが提供される。元世界チャンピオンのダニエル・ムーア氏や女子テニスのトップ選手らを中心に構成されたチームのコーチングの元、フィジカル、テクニカル、メンタル面の強化や、賞金総額300万円の強化試合参加を含むプログラムが用意される。