心は女性、身体は男性…踏み出した人生の決意とは

ありすさんは、性別適合手術を受け、身体も戸籍も女性に変えると決めていたのです。

札幌医科大学附属病院は、性同一性障害の専門外来がある、日本でも数少ない病院です。診察には、バーの店長も付き添います。2度と元に戻れない手術のため、複数の医師による診断、カウンセリングを受ける必要があります。


札幌医科大学・泌尿器科学講座の舛森直哉医師は「明らかに本人の生活の質があがるのではないかと。嫌悪感もが軽減する、望む性別で社会でも活動できるようになると、社会的にも受容される」と話します。

性同一性障害特例法は、戸籍の性別を変えるためには、精巣や卵巣などの生殖腺がないこと、または、その機能を永続的に失っていることが条件です。
このため、自分の子どもを持つことは、できなくなります。元の性別の機能によって子どもが生まれた場合、混乱や問題が生じる可能性があることなどが、その理由です。

ありすさんは、「それはそれでいいのかな、しょうがないかなって。それ以外何で基準つけるのってなると思うから。じゃあ温泉どうなるのってなるし、スポーツジム行ったとき更衣室問題はってなると思うから」と話します。


WHOなどの国連機関は、性別変更に手術を必要とすることは「人権侵害」だとする共同声明を発表しています。国際的には、手術要件を撤廃する国が相次いでいて、日本は性別変更のハードルが高い国といえます。

入院と手術の費用は、およそ190万円。手術当日の朝。手持ちのスマートフォンでカメラを回し、「ドキドキが止まらない」と打ち明けた、ありすさん。
手術にいたるまで、3年。
専門医の数も少なく、この病院でも手術を受けられるのも、年間10人ほどです。