USスチール買収問題 大統領交代は「転換のチャンス」と捉え「投資」へ

――日米首脳会談で「経済」分野に関してはどうご覧になりましたか?

後藤謙次氏:
経済に関して肝は「USスチール」だと思いますね。バイデン前大統領にUSスチールとの買収問題についてノーを突きつけられたということで、日本にも衝撃が走ったわけですが。当時これを復活させるということはあまり日本の政府内になかったと思うんですよね。ただ石破さん周辺では「ピンチはチャンスだ」と。大統領が変わるわけだから、その決定も大いに変わると。しかも「バイデン決定」に対しては「トランプ氏は必ず腹に一物持ってるはずだ」と。となればこれが転換するチャンスだから、今回についても「買収じゃないけど投資だよ」という、この「投資」という言葉にたどり着いたんだと思いますね。その点では、石破さんがそこで模索したということが結果がでたんじゃないですか。つまり0から50ぐらいまで戻したということは非常に大きい。

――まずは(株式の)49%まで買えるわけで、その先もある?

後藤謙次氏:
技術供与していくうちに日鉄の技術・資本を頼らざるを得ないという状況が生まれてくるということを見越してやってるんじゃないかという気がしますね。

――日本製鉄の技術というのは、やはりすごいですか?

後藤謙次氏:
とりわけパイプラインの製造については他の追随を許さないぐらい。あと自動車の鋼板も非常に高い技術力があると言われてますよね。ただアメリカからすると「US」という、つまり「アメリカ」の国名を冠した大きな企業が「日本」という国名を冠した企業に買われるというのは、日本にアメリカのいわゆる製造業が買われてしまうという印象がアメリカ人には抵抗があるんじゃないですかね。

予算巡り与野党攻防 森山幹事長の狙いは・・・

――国会では予算案通過を巡り与野党の攻防が激化しています。立憲・維新・国民それぞれ要求がありますが、自民党はどの党と折り合いがつきそうですか?

後藤謙次氏:
これ中心になっているのが森山幹事長ですが、森山さんは1日か2日のズレはあるにしてもおそらく3党同着を狙ってますよね。とりわけ来週が山場というのは、3月2日が年度内成立の期限と言われていて、そして修正には1週間程度時間がかかるということになると逆算して来週がそのピークになるわけですね。そこをにらんで動き始めているということは、この3党とも受け入れの用意があるという流れの中にあるんだと思いますね。ですから自民党の幹部によれば、これまで森山さんが仕掛けた網を徐々に手繰りはじめてきていると、それぞれに魚が多分入ってるんだと、当初は優先順位を決めて引き上げるというふうに我々見ていたのですが、どうも森山さんの頭は同着、つまりそれは予算(の協議)が終わった後に様々な政策、例えば企業団体献金の問題だとか選択的夫婦別姓問題とか、そこまでにらんだうえでの合意を取り付けないと抵抗勢力を作ってしまうと、それはまた大きな荷物を背負うということになるので、おそらく同着を狙っている。