低い弾道のミサイルにイージス艦で対応できない…日本にとって『苦しい状況』
ーーそのあたりの精度はどう捉えられているんでしょうか?
「最近の訓練の成果を見ると、ほぼかなり高い確率で当てられています。そちらは普通のいわゆる山なりのボールのような打ち方に対してで、低い弾道で飛んでこられた場合、イージス艦では対処できないです。そのため、アメリカでは新しいミサイル防衛を開発しているんですね。それができるまでは何年かかかるということになりますので、それができるまでは日本の防衛はかなり心もとなくちょっと苦しい状況が続きます」

ーーイージス艦は佐世保(長崎県)、舞鶴(京都府)、横須賀(神奈川県)の3地点で8隻配備されています。PAC3に関しては部隊が全国に28あるということです。
「PAC3は先ほど言いましたように防御範囲が狭いので日本全国は無理ですね。有事になれば基地に配備されていますけれども、北朝鮮に動きがあれば、重要防護拠点といいまして守るところについて、ある程度計画はありますので、そこに展開して守るということになります。しかし、それ以外の所は難しい。イージス艦は8隻あるうち基本形は日本海に2隻、太平洋側に2隻を置いてカバーすれば、日本全土、ほぼ守れます。しかし、低い弾道でこられると対応できない。新たに低い弾道用のミサイル防衛の仕組みを作って、船に載せることになると、かつての大きな山なりに来るのと比べると、イージス艦の射程が少し短くなるんですね。そうすると数が必要になってくるのかなというのが予想されます。イージス艦や今はなくなった『イージス・アショア』のようなものがあればあるほど100%はなかなか難しいんですが、迎撃できる確率が上がるということです。核ミサイルが飛んでくるのを想定すると、やはりそちらを厚くしていくのは必要かなと思うんですね」
ーー防衛費の増額についてはどう思っていますか?
「防衛費は本当に必要があって計算することなので、あったらあった方がいいと思います。しかし、北朝鮮の核ミサイルへの防衛に関しては、もう防衛問題というよりは本当に地震対策のような、いつか来るかもしれない、来たら本当に大変な被害が起こるという、大災害対策のような観点で議論してほしいなと。防衛問題になるとどうしても右対左の喧嘩になっちゃうんですね。ですから大災害対策ということで冷静に議論してほしいなと思っています」
(2022年10月6日放送MBSテレビ『よんチャンTV』より)














