物価高で、街の商店街からは悲鳴が上がっています。中には、“店をたたむ選択肢”が頭をよぎるという声も…。その一方で、歴史的な「円安」で都心の“億ション”には外国人が殺到しています。“現金一括払い”で購入する人も多いそうです。
■「簡単に値上げというわけにはいかない」 10円単位の値上げも慎重に
東京・荒川区の商店街。約400m続くアーケードに、80店舗ほどの個人商店が軒を連ねます。

山本恵里伽キャスター
「夕方になって人通りが増えてきました。焼き鳥屋にはおいしそうな焼き鳥が並んでいます。向かい側はお総菜とお弁当の店ですね。お店の奥を見てください。価格改定の紙が貼られています。お弁当が値上がりしたようです。この弁当屋さん以外にも値上げするかしないか、厳しい選択を迫られている店がたくさんあるようです」
30年以上続く惣菜店「きく」を訪ねました。お客さんに一番人気の商品が、関東では珍しい紅しょうがの天ぷらです。約1年前に110円から130円に値上げしたきり、その価格を何とか維持してきました。

――130円からさらに値上げする可能性は?
惣菜店 覚前伸仁さん
「あるかもしれないですけど、とりあえずはまだ我慢して。正直もっと上げたいのはありますけど」
物価高で、天ぷらに欠かせない油と小麦粉の仕入れ値が上がり続けているのです。
惣菜店 覚前さん
「油の金額がコロナ前に比べると一斗缶で倍以上になったんです」

サラダや煮物など、油を使わない商品を増やす工夫をしていますが、それも限界に。ただ、10円単位の値上げにも慎重にならざるを得ないといいます。
惣菜店 覚前伸仁さん
「不安。お客さんが来てくれるとは思うけど、やってみないと分からないので」
商店街を行く客の財布の紐はというと…
解体工事業
「どこ行っても値上がりしているので困っている」
主婦
「ひたすら安いものを探して無駄遣いしないように」
“簡単に値上げというわけにはいかない”…そう考える店は少なくありません。

理容店「ウィン」のカット料金は1100円です。シャンプーやトニックなどの仕入れ価格が値上がりしましたが、料金は…
理髪店 生沼吉康さん
「(料金は)4月に上げたんです」
――影響は?
理髪店 生沼吉康さん
「すぐにじゃなくても徐々にお客さんが“買い控え”でしょ?うちの場合はは“刈り控え”ですよ」
しばらくは今の料金を据え置く方針です。
理髪店 生沼吉康さん
「料金が安いっていうのも売りの一つだから、このまま頑張ろうと思っています」
■頭をよぎる“店をたたむ”選択肢
値上げできず、さらに追い込まれているのが衣料品店です。

婦人服店 猪俣祐二さん
「本当にきついです」
円安の影響で、海外から輸入している洋服の原価は1.3倍上がったといいます。しかし、店頭価格は据え置いたまま。その理由は…
婦人服店 猪俣祐二さん
「ガスも電気も上がってるし、何我慢するっていったら着るもの我慢するってことになるので」
――客の声は?
婦人服店 猪俣祐二さん
「『洋服はいらない』っていう声ですね」
頭をよぎるのは、店をたたむという選択肢です。
婦人服店 猪俣祐二さん
「やっぱり考えちゃいますよね、これだけ悪いと。だから本当に今、迷っている状態です。どうしたらいいのか。悪くなる一方なんで」