若竜たちの胎動が聞こえる

シーズン後半には、ショートのスタメンとして2年目19歳の土田龍空が起用され続けた。ミスもあるものの、守備範囲の広さ、キャッチングの確かさ、送球の安定感は、ショート出身である立浪監督にも認められ、最終戦まで走り抜けた。
投手では何と言っても、2年目19歳の髙橋宏斗投手である。
投げる度に良くなるピッチングで、三振の山を築きながら6勝を挙げた。
もし打線の援護があったのなら10勝を超えて新人王の有力候補だったはず。
来季は開幕からローテーションの軸に入ってほしい。
この他、野手ではルーキーの鵜飼航丞選手、2年目の三好大倫選手、石橋康太選手、投手では髙橋投手の同期の上田洸太朗投手ら、これからドラゴンズを引っ張ってくれるであろう若竜たちが次々と台頭したシーズンでもあった。
「大いに優勝をめざしてやっていく」立浪監督は来季への抱負をこう語った。ただ逆襲への戦いは監督ひとりが背負うものではない。
コーチや選手、そしてチームを運営するフロントの力量と愛情、すべてが問われる2023年シーズンはすでに始まっている。
来季に夢を馳せながら「ただの最下位でない!」と叫びたい。
だからこそ、球団史上でもかつてなく厳しいシーズンオフの日々を、球団一丸となって過ごしてほしい。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。