先発投手陣の光と影

「サンデードラゴンズ」より 小笠原慎之介選手

12球団でもトップクラスと言われるドラゴンズ投手陣。

しかし、そこにも時間の経過と共に影が忍び寄る。

エース大野雄大投手、そして前の年に最優秀防御率と最多奪三振の2冠だった柳裕也投手。

しかし、大野投手は好不調の波があり、5月のように10回2死までパーフェクトピッチングをするかと思えば、初回から大量失点の試合もあった。

打線の援護に恵まれなかったこともあり8勝8敗に留まった。

柳投手は開幕直後には安定した投球で、毎週日曜日に登板して勝利することから「サンデー柳」とも呼ばれた。

しかし、後半戦にかけて毎試合のように先制点を許すなど調子をつかみきれなかった。

最終戦のリリーフで好投したが、9勝11敗の負け越しは誤算だった。

そんな中“3人目の男”と期待された小笠原慎之介投手は、コロナ感染で離脱しながらも規定投球回をクリアして、自身初の2ケタ勝利も達成した。

来季は先輩2投手と並んで先発ローテーションの柱になってほしい。

12球団トップクラスのリリーフ陣

リリーフ陣の活躍は見事だった。

福岡ソフトバンクホークスから獲得した岩嵜翔投手が、開幕早々にけがで離脱するという思わぬアクシデントがあったが、先発から中継ぎに回った清水達也投手が期待以上の大活躍を見せた。

54試合に登板して3勝と32ホールド、昨シーズンわずか1試合のみの登板だった22歳の投手が、見事に花開いた。

そして清水から8回と9回を引き継ぐ2人、ジャリエル・ロドリゲスとライデル・マルティネスは、自己ベストの活躍だった。

ジャリエルは45ホールドポイントで最優秀中継ぎ、ライデルは39セーブでセーブ王、それぞれ初受賞となった。来季も抑えは万全と期待したい。

岡林の見事な成長に喝采

「サンデードラゴンズ」より 岡林勇希選手


立浪監督がめざした若手の成長は着実にその足跡を残した。

筆頭は岡林勇希選手である。石川昂弥選手と同じ入団3年目、ドラフト指名は下位の5位だった。

しかしバッティングセンスは評論家時代から立浪監督が認めていたもので、開幕からスタメンで起用された。

開幕戦はいきなりの3安打、その後、初夏にかけて若干調子を落としたが、ゲームに出続け、安定した外野守備で貢献している内に、打撃も再び上向きになった。

シーズン161本のヒットを打ち、見事に最多安打のタイトルを手にした。

盗塁数も24とリーグ2位。打って守って走って、20歳の岡林選手は立浪ドラゴンズで最高の成長株になった。