新型コロナウイルスのまん延以降、亡くなった方の顔を家族に見せることなく火葬するケースが、まだ続いています。国は「遺族の気持ちに配慮して」と求めていますが、葬儀業者への周知は十分とは言えない状況が続いています。

◆「妻は“危険物”なのか?」

「『最後の別れをできないか』と言ったら、『ビニールの納体袋に入っているから、もう顔は見えせん』と」


福岡県筑紫野市の篠倉邦男さん(80)です。新型コロナの第7波が猛威を振るっていた今年8月に妻の久枝さん(85)を亡くしました。原因は老衰でしたが、体調を崩して入院した際に新型コロナの感染が判明していました。妻が亡くなった後、篠倉さんは、死亡診断書を見ながら葬儀業者から次のように言われたといいます。

篠倉邦男さん「その日のうちに火葬せないかんと。コロナの遺体を安置してくれるところがないというわけですよ。葬儀社も(遺体は)自分のところに持って帰らんと」

せめて、火葬の前に顔だけでも見たいと伝えたものの、「最後の別れ」はかないませんでした。

篠倉邦男さん「よっぽど危険物扱いをしとる。亡くなった遺体からコロナが発散するわけではないけんですね。だからなんでそんな特別扱いするんかな…」

篠倉さんの妻の葬儀を担当した葬儀業者はRKBの取材に対し、「職員の思い込みによる不備があった」などと回答しました。