宮崎県の川南町議会解散の是非を問う住民投票が、9日、行われました。
投開票の結果、賛成票が過半数となり、議会は即日解散しました。町議会議員選挙は40日以内に行われます。
9日、投開票が行われた川南町議会の解散の是非を問う住民投票。
開票の結果、賛成が4230票、反対が1768票で、賛成票が有効投票の過半数となりました。
川南町で何があったのか?
ことの発端は、新しい中学校の建設計画で、おととしの町長選挙以降、計画に賛成した議員と反対した議員で真っ二つに。
建設計画以外でも対立を繰り返したほか、その後、町側と議会側の「ねじれ」も生じ、副町長選任の人事案が不同意になるなどしました。
こうした状況を受けて、押川義光元副町長を代表者とする町民グループが、「議会が十分に審議を尽くさず機能不全に陥っている」などとして、解散を求める署名を提出し、リコールの本請求が受理されました。
そして、9日。住民投票で賛成票が上回り、議会は即日解散。
(町民グループの代表 押川義光元副町長)
「住民の方々が『これではいけない』という思いが結実したものだと思っている。幅広い年代の方々がそれぞれに意見を出し合って、そして、議論・討論をしながら、より良い川南を目指して作ってもらいたい」
(三浦功将記者)
「議員の名前が書かれている札。きのうの夜まですべてかかっていましたが、けさはすべて取り外されました」
一夜明け、議長だった河野浩一氏が取材に応じました。
(川南町議会 河野浩一 前議長)
「完全に、あの~……私たちの敗北だと思う」
今回の投票結果については…
(川南町議会 河野浩一 前議長)
「中学校を新しいところに作った方がいいという人が多いとなったのではないかと思う。町民同士の対立も解消していかなければいけない課題の一つだと思っている」
一方、町民の反応は。
(町民)
「『おかしい。川南がおかしい』というのは気づいていました。(議会が)団結したら良いんじゃないかと思っていた」
「また選挙をしないといけない。それが無駄遣いだと思う」
「みんなが納得いくような議会にしてほしい。町民の税金を使うんだから」
そして、宮崎吉敏町長は、今回の結果を受け止め、町のためになる議会であってほしいと話しました。
(川南町 宮崎吉敏町長)
「お互いに非難し合う議会ではいけないと思う。執行部に対してしっかりと自分の思いを発言してもらって、そのことに対して私たちも真摯に応えて、そのことが結果的に川南町のためになるという、そういう議会であってほしい」
議会解散に関するリコールが成立するのは全国的にも珍しく、総務省によりますと、近年では、2012年の山梨県西桂町で成立して以来。
県内では、2002年の北浦町議会以来、およそ23年ぶりです。
今回の川南町の結果を、専門家はどのように見ているのか、宮崎公立大学の有馬晋作名誉教授に聞きました。
(宮崎公立大学 有馬晋作名誉教授)
「議会の解散のリコール請求が成立するのは非常に珍しくて、2000年代の前半の小泉政権のときに平成の大合併があったが、あのときには合併をするのは非常に住民全体の方の大きなことだったので、それに伴って議会解散請求リコールというのが成立したという例はある。ただそれ以降、もう20何年以上ほとんどないのが実態」
全国的に珍しい、議会解散のリコール成立。
川南町は、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。
(宮崎公立大学 有馬晋作名誉教授)
「通常のパターンだと議会の構成と違った新しい町長が登場しても、議員たちの任期4年間なので、その間にだんだん町長支持派が増えてきて、町政運営はスムーズにいくっていうのが普通。ただ今回、川南町の場合は最初から中学校統合問題が大きな争点としてあったので、そういう分断にもつながって、最初から根強いしこりがあったのではないかという気がする」
果たして議会の解散によって町内の分断を終わらせることができるのでしょうか?
(宮崎公立大学 有馬晋作名誉教授)
「これまで以上に町が分断化するっていうのは避けた方がいいと思うし、住民は投票にあたっては、町長派とか反町長派とかいうことではなく、町全体のことをしっかり考えて、是々非々でやるような議員を選ぶという方がよりベターではないかと思う」
川南町議会議員選挙は、今月25日に告示され来月2日に投開票されます。
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