消されていくモンゴル文字

街中では、これまでモンゴル族の文化を保護するため併記されていた「モンゴル文字」の表記が少なくなり漢字のみの看板が並んでいた。

Q.お店の看板にモンゴル文字はないのですか?
漢族の店主

「無い、無い。いまは必要ないから」

モンゴル文字を併記しなくてもよくなったのだという。

モンゴル族の店主
「正直言って私たち少数民族に対する政府の抑圧です」

Q.これは政策変更ですか?
モンゴル族の店主

「これ以上は言えません。政策に関わることですから。だけど、悪いことですよ」

内モンゴル自治区で急速に進む「漢族への同化政策」。その影響は、こんなところにもあらわれていた。

世界史上最大規模の帝国を築き上げたモンゴルの英雄、チンギスハーン。オルドス市内には、チンギスハーンが眠るとされる廟がある。漢族の観光客にこんな質問を投げかけてみた。

Q.チンギスハーンはどこの国の英雄だとおもいますか?
漢族 観光客

「中国ですよ」

Q.なぜそう思うのですか?
「歴史がそうだから」

Q.チンギスハーンはどこの国の人ですか?
漢族 観光客

「モンゴル人でも、中国人でもあります。モンゴル人は中華民族の一部であり、56の民族の一つです。モンゴル国も中国が取り戻す可能性もありますよ」

中国で消えるモンゴル語。失われゆく、モンゴルのアイデンティティー。危機感を抱いたのはとなりの国、モンゴル国で暮らす人々だ。