北朝鮮から打ち上げられた弾道ミサイルは日本上空を通過し太平洋上に着弾。過去最長4600kmの距離をわずか約22分後に太平洋上に落下しました。そして今回打ち上げられたのは「火星12」とみられていて、射程距離は6000kmで高軌道のものですが、日本へは軌道の低いミサイルで狙われる可能性が高く、現在の装備で迎撃するには限界があると軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は指摘します。


――今回のミサイル発射は率直にどのように感じていますか?
「今回は実験ですので、失敗して落ちてくる可能性はもちろんありますが、可能性としては低いです。こうしたことが続けば、核ミサイルの能力が非常に上がりますので、実際に戦争になったとき、北朝鮮の中で動乱が起こったときに非常に危険になるという、長いスパンで今日の事を見る必要があると思います」
弾道ミサイルの発射は国際法違反…抗議以上は難しい

――先週以降、10日間で5回にわたりミサイルが発射されました。これまでの4回に関しては、飛距離は300km~400km、最高高度が500kmでした。4日に発射されたミサイルの飛距離は4600kmで、しかも最高高度が1000kmでした。
「国際法から言うと弾道ミサイルの技術を使った発射というのは全て国連安保理決議違反になりますから、長距離のものだけではなく、これまでの短距離の分も全て国際法違反になります。それに対しては本来、制裁を強化するというようなことが必要になってくると思うんですが、ロシアによるウクライナ侵攻など今はなかなか国連安保理が機能してない状況です。そういうところで、北朝鮮はフリーハンドになりつつあるということですね。それとは別に日本の上空を、ミサイル実験で飛ばすことは日本に対して非常に危険なことですから、それに対して抗議していいと思います」
――北朝鮮にはなかなか伝わってないということですか?
「抗議以上のことは難しいんですよね。アメリカも含めて、封鎖するなど軍事的な圧力を加えることができるようになれば、緊張感が高まりますが、今なかなかできないいうことですね。また、国連決議で制裁をかけたいんですが国連決議はロシアと中国が拒否権を出すと
いう状況で、制裁をかけられない。そのため、アメリカや日本が独自の制裁をかけるということになると思うんですが、既に日本やアメリカができる制裁はほとんどやっているんですね。だからこういったことに関しても国連が機能してないっていうことになりますよね」