アメリカでも起きている“リアル書店回帰”
イギリスだけではなくアメリカでもリアル書店回帰という動きは起きています。 2023年3月の記事によると、アメリカ最大のリアル書店チェーンであるバーンズ・アンド・ノーブルのCEOは、総店舗が30店ほど増えるとインタビューで答えています。リアル書店が増えるとは意外です。
なぜならアメリカにはAmazonの存在があり、日本以上に国土が広いため、通販で物を買う傾向が高いからです。Amazonが台頭した影響で、2011年には書店チェーン2位だったボーダーズグループが経営破綻しました。バーンズ・アンド・ノーブルも2019年にはヘッジファンドに売却しており、経済的な苦境を味わっています。
一方でコロナ禍を機に、書店ブームや読書ブームが再び高まっています。スマホやタブレットなどでの動画視聴も普及していますが、常に画面を見続けることに疲れたり、飽きたりすることもあります。その中で紙の本に対する人気が比較的上がっていきました。2021年のアメリカ市場における紙の書籍販売は、8億2800万冊と調査開始以来過去最高になったというデータもあります。そんなに回復しているんだと結構驚きました。
また、電子書籍と紙の書籍の割合を比べても、実は電子書籍の割合はさほど高まっていません。電子書籍は10年以上前の2013年に全体の28%まで上昇しましたが、実はそれ以降は下落しています。紙の書籍の方がシェアが高まっているということもあり、今は電子書籍が約20%で紙が約80%ぐらいです。つまり紙の書籍の人気が依然として強く、その中でオンラインではなく、リアル書店の人気が再び蘇ってきたことがアメリカの状況です。