『ブックトッカー』とZ世代が思うリアル書店の魅力
この背景についてガーディアン誌は、アルゴリズムとオンライン小売業者への抵抗が少なからずあると分析しています。これが面白い分析で、イギリスの若い読書好きの人たちに本を知ったきっかけを聞くと、ブックトッカー(BookToker)でした。
ブックトッカーとは、TikTok上で本を紹介するインフルエンサーのことで、そのコンテンツ自体は『ブックトック』と呼ばれています。ブックトッカーの紹介をもとに、実際の購買行動につながるという現象が起こっています。
日本ではまだあまり聞かない言葉ですが、私が昨年アジア約5か国へ出張で訪れた際に、どの地域の書店にも「ブックトックコーナー」が展開されていました。
前述のガーディアン誌は、ブックトックが本を選ぶ上で大きな影響力を持つ理由に「オンライン疲れ」を指摘します。読者がコンテンツやアルゴリズムに日々さらされて生き続けていることで、その習慣に飽きたり、疲れてきたりしていると推測されているようです。
その記事にコメントした27歳の女性によると「本屋で店員と話をして、その人の意見を聞いたり、自分の好きな本について話したりするのは、アルゴリズムに基づいて本を選ぶよりずっと楽しいと思う」というコメントをしていました。アルゴリズムは自分の好みに最適化した本を提案してきますが、それよりもリアルの書店に行って店員さんと話して、偶然性の中で本を選んでいくということに魅力を感じているという動きが広がっています。