元TBSアナウンサーが指摘「これは仕事なんだ、と痛めつけられながら働いてきた人たちがたくさんいる」テレビ業界の構造的な問題

女性の見た目や若さが重視されるテレビ業界の価値観を問題視する人もいる。
2010年までTBSに務めていたエッセイストの小島慶子さん。

NHKや民放キー局のテレビ出演者の男女の比率を調べた2022年の調査報告を引用し、こう話す。

元TBSアナウンサー小島慶子さん
「年代別で見ると10代・20代は圧倒的に女性が多いんですね、男性よりも。10代・20代の女性たちはどんな仕事をしているかを見てみると、アナウンサー、キャスター、モデル、タレント。30代を見てみると急に女性が減って、男性が増えてきます。若くて見た目の整った女性しか画面に映す価値はないという、非常に強固なこの業界の思い込みをすぐに捨ててほしい」

こうした価値観の背景に、男性が多いテレビ業界の構造的な問題があるという。

元TBSアナウンサー小島慶子さん
「どんな無茶なこと非常識なことも平気でやってのける男だけが良き働き手とされて、女性がそういう現場で働かざるを得ない状況が長く続いてきた。この業界における女性の扱い、様々な被害を生む温床になっている。その中でハラスメントの被害に遭っても声を上げられずにきたとか、この仕事はこういうものなんだって自分に言い聞かせて、心身を本当に痛めつけられながら働いてきた人が沢山いると思う」

日下部正樹キャスター
「人権意識とか、そういうものは報道機関として、逆にどんどん啓発していく立場にあると思いますが、まさに逆というか、報道機関としての役割を果たしていなかったんだということになってしまいますよね」

元TBSアナウンサー小島慶子さん
「そこで働いている人たちの人権が本当に守られているのか。それをないがしろにした人たちが世の中で起きていることについて、ここで人権問題が起きてるということは(追及)できない。その足元から本気で取り組むということが足りてない」

女性の社会進出が進むにつれ、テレビ業界の男女の比率も変化したが、十分ではないという指摘もある。

村瀬健介キャスター
「テレビ業界の中で働く女性が置かれている立場というのが、やはり時代の流れについていってないのではないかという面があるようにも思います」

元BPO青少年委員会副委員長・文教大学教授 加藤理氏
「今、かなりかわってきたなと思うこともあります。例えば、TBSでいうとnews23の小川さんがメインキャスターですよね。日曜朝の番組は膳場さんがメインキャスターになったりもしました。テレビも社会の動きと変わってきたと思う。ただ、まだまだ女性が“飾り物”というような、これに対する疑問を感じないで放送を流してしまうということが、見ている視聴者にどう受け止められているかもっと感じてほしい」