お金で評価しない!?新たな「決算書」

フェルバー氏「(公共善エコノミーにおいては)『公共善』こそが目標です。では、その達成度を測りましょうよ。この会社・この組織は、公共善にどういう貢献をしているのか? 私たちは『公共善決算書』というものを作りました」

「公共善エコノミー」は、理論だけにとどまらず、「公共善決算書」という実践的なアイテムを提案している。

企業や団体の損益を示す従来の決算書とは全く異なり、「人間の尊厳」「連帯・公正」など、人間社会で大切にされるべき4つの価値をもとに、公共の幸せに対する貢献度を測るものだ。

自己評価と外部評価で成り立ち、作成する過程で、人々の 経済に対する価値観を変えていくのが特徴だ。

講演の中で、フェルバー氏は、公共善決算書での評価の高さに応じてメリットが得られるようなしくみ(例:税率が引き下げられる、補助金が得られやすくなる、低金利で銀行の融資が受けられる、など)をつくることが重要だと語った。
ヨーロッパを中心に広がる「公共善エコノミー」

提唱から15年。「公共善エコノミー」は、世界33か国 1300以上の企業・団体と44の自治体で既に導入されている。(2025年1月現在)

フェルバー氏の著書『公共善エコノミー』は8か国語に翻訳され、日本語版は、長崎県佐世保市出身でドイツ在住の池田 憲昭 さんが翻訳し、2022年に出版された。

2024年4月には、日本で広めるための団体も設立されている。

長崎大学グローバルリスク研究センター 副センター長・樋川 和子 教授「これ(公共善エコノミー)をやっていけたら、広めていけたら、世の中変わるんじゃないかなと。変えていけるんじゃないかなと。可能性を秘めているんです。それ、やらない手はないじゃないか!と私は思うんです」
日本における団体のメンバーで、長崎大学での講演を企画した 長崎大学グローバルリスク研究センターの樋川 和子 教授。

元外交官で、専門は核軍縮と核不拡散。実務の中で、核をめぐる多国間のやりとりをつぶさに見てきた。そんな中、一つの結論に行き着いたという。

樋川 和子 教授「結局、自国の安全保障が損なわれてしまうと考える国がある限り核兵器はなくならなくて、だからこそ、そう思わないで済むような世界にしないことには、なくならない」

核兵器をなくすためには、各国間の「対立」そのものをなくす必要があるー。
問題の本質へのアプローチを考えていた時に出会ったのが「公共善エコノミー」だった。

経済の目標を、「利益の追求」から「公共善」に変え 矛盾をなくせば、核問題を含む あらゆる社会問題を解消できるのではないかー。そう考え、日本で広める活動を始めている。

2月には、フェルバー氏を再び日本に招いてイベントを開く計画だ。2月9日(日)には東京とオンラインでセミナーを、2月11日(火)には東京でワークショップを開催する。

樋川教授「公共善エコノミーの考えを広く知ってもらって、多くの企業・団体や自治体で導入してもらいたい。今後、長崎でローカルモデルをつくれたら」
”人々の価値観を変える”という壮大な取りくみに思えるが、「公共善決算書」に沿って進むうちに 自然と考え方がトレーニングされ 価値観が変わるとすれば、それが大きな潮流となった時、確かに 世界は変えられるかもしれないー。
そんな希望を感じさせてくれた長崎でのフェルバー氏の講演だった。














