オーバーツーリズムに“二重価格”はアリ?
藤森祥平キャスター:
オーバーツーリズム対策として、国内在住者との金額を変える二重価格の導入も検討されています。

今年7月にオープンする大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」の1dayチケットは、▼国内在住者で大人6930円、子ども4950円、▼一般料金で大人8800円、子ども5940円と二つに分かれています。二重価格の導入、どうなるのでしょうか。
トラウデン直美さん:
国籍で区別すると、どこかモヤっとはしますし、差別的に見えなくもないですが、国内在住者を対象としているので、“地元割”みたいな形で、地元の人に還元しようという意識があれば、よい取り組みなのではないかと思います。
いろいろ色々なサービスをしたいですが、“おもてなし”をボランティアで続けていると、提供する側の身がもたなくなることもあると思うので、サービスを提供するためにも必要なのだろうと思います。
藤森祥平キャスター:
二重価格を懸念する声もあります。

観光政策に詳しい立教大学・西川准教授は「インバウンドで期待されていることは経済効果だけではない。観光の意義は日本文化への興味関心を高めたり、世界に日本のファンを作ることでもある。日本に対して負の意識を生むことにもなり得る」と指摘します。

伊沢拓司さん:
二重価格に関しては、価格の妥当性というのが必要になるとは思います。経済の基本は、「一物一価」、一つのサービスに対して一つの価格ということになります。
観光客向けの表示や外国人スタッフの配備に対して余計にお金がかかるということであれば、ある程度の妥当性はあると思います。
しかし、「取りすぎている」という印象になってしまうのは良くないですし、妥当だとしても、値段を上げると「かかりすぎじゃないか」と思われてしまうでしょう。
藤森祥平キャスター:
どこで金額の差をつけるかは難しいですね。
伊沢拓司さん:
日本はチップの文化もないので、ホスピタリティは価格化しづらい部分です。
だからこそ、日本独自の“おもてなし”が差別化要因になればいいと思いますが、これに関しては、経済効果などをしっかりアセスメントしていかないといけません。
あとからデータが出てくると思うので、これで“決まり”にならないことが大事なのかなと思います。
小川彩佳キャスター:
二重価格が負のイメージにつながるリスクをどう思いますか?
トラウデン直美さん:
やり方次第だと思います。
外国の観光地で、地元の人が「これ以上、観光客来ないで」というデモをしている様子などを見ると、地元の人が住み良くない街だと映ります。
それは負のイメージにも繋がると思うので、地元の人たちにとっても住み良い街になるように協力していこうという感覚は、観光地を訪れる側としても持つべきだと思います。