福島県内で長く愛される老舗のいまにスポットを当てる「老舗物語」。今回は、会津若松市にある人気食堂です。

みそにミルクを合わせたまろやかなスープに、もっちりとした食感が楽しめる中太のちぢれ麺。その一杯を求めて、きょうも店内は満席です。今回の老舗物語は、会津若松市で創業し98年、「牛乳屋食堂」

--井上美紀さん(牛乳屋食堂4代目)「“おいしかったからまた行きたい”っていうお店を目指して、常日頃やっています。」

4代目女将の井上美紀。6年前に代替わりし、いまは3代目の節子さんと共に店を切り盛りしています。

独特な店名の「牛乳屋食堂」。初めて来た人からは、こんな質問をされることが。

--井上美紀さん(牛乳屋食堂4代目)「お店の名前が『牛乳屋』ということで、“農場を持っているんですか?”って聞かれたことがあるんですね。」

「牛乳屋食堂」のルーツはその名の通り牛乳屋さん。1927年、会津鉄道・芦ノ牧温泉駅が、旧国鉄の上三寄駅として開通した年に、初代女将のキヨノさんが、駅前で牛乳の販売を始めました。その後、生活のために食堂を開くことになり、その時保健所に届けていた「牛乳屋」の屋号に「食堂」をつけ、「牛乳屋食堂」になったそうです。

午前7時前。店の厨房には、開店に向け仕込み作業をする美紀さんの姿がありました。結婚して嫁ぐ前は、ホテルで働いていたという美紀さん。はじめはプレッシャーを感じていたといいます。

--井上美紀さん(牛乳屋食堂4代目)「嫁いできたときに、2代目もその頃は現役だったので、2人の背中をみて、“できるのかな?”って、すごいプレッシャーを感じました。全てが初めてだったので、一から全部教えてもらって、覚えるのが大変でした。全然、いままでと仕事は違うことですから。」

代々家に嫁いできた女性が、店を継いできた「牛乳屋食堂」。今後も女性が継いでいくのか聞いてみると・・・。

--井上美紀さん(牛乳屋食堂4代目)「私、息子がいるんですけど、まあ、息子のお嫁さんが継いでくれたらいいなという思いは持っていますけど、強制はできないことなので。いまはなんとも言えない状況ですよね。」

開店時間の午前11時。店を開けると同時に県内外から次々と客が訪れました。昼時になると、老舗の味を求める人たちで、店内は満席になっていました。

そんな店の看板メニューは「ミルクみそラーメン」です。いまでは、客の8割が注文する人気メニューですが、その誕生の裏には、あるきっかけがありました。