美しさの“自家発光”が生む恐怖

──衣装デザインで加えた“アクセント”は何かありますか?

“美しい人を美しく見せない”──これが今回の最大の課題でした。主人公・紗智子は不幸を背負った女性。佐々木希さんの華やかさを抑えるため、くすんだ色合いや薄い素材を選び、彼女の陰影や哀しみを表現しました。また、監督からは「発色を意識した撮影」に合わせ、衣装も独特なカラーリングを求められました。そのため、衣装が画面の中でどのように映るのか、色と質感、バランスを徹底的に計算しました。
衣装はただの装飾ではなく、登場人物の背景や立場を映し出し、物語に深みを与える重要な要素です。紗智子の衣装も、華やかさを抑えながら、彼女の苦悩や強さを静かに語っています。

“冴えないヒロインがキレイに変身する”のが定番ですが、本作ではその逆。主人公をあえてトーンダウンさせる珍しいアプローチを採用しました。佐々木さんの美しいオーラを封じ込めつつ、クローズアップでは彼女の美しさが“自家発光”し、むしろ“美しいものに恐怖を感じる”という新たな効果を生んでいます。佐々木さんがどのように変貌していったのか、じっくりと堪能してほしいですね。