女性従業員らと繰り返し性交 自殺を図ろうとした従業員も
本多被告は、性交を繰り返しながら女性従業員らにどのようなふるまいを見せていたのだろうか。
2016年1月、本多被告は女性従業員の1人から強姦未遂の容疑で告訴されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。
検察によると、本多被告は、告訴した従業員を捜し出し拉致して殺害するよう店の幹部らに指示。しかし幹部らがその指示に従わなかったため、指詰めを迫った。その場には、今回の事件の被害者2人も同席していた。
同じ頃、被害者2人は本多被告から「自分の命を狙う殺し屋が来たので日本刀で返り討ちにした。その際の血しぶきが台所等に付いたので掃除しておけ」などと告げられたという。
2017年3月には、”糸島勤務”の廃止を求めた女性従業員らの首に日本刀の刃を当てて服従を誓わせたりした。
検察は、抵抗できず性交した事件の被害者の中には、店舗のバックヤードで自殺を図ろうとし精神科に入院した人もいると主張した。
また、当時20代前半だった女性従業員が、本多被告に抵抗した際、全治10日間のけがを負ったとして、女性が友人に送ったLINEの文面を証拠提出した。
女性従業員が友人に送ったLINE「本当に殺されるかと思った」「糸島の人」「あざだらけなんやけど。首絞められて死ぬと思った」
弁護側「肉体関係を含む親密な関係 抗拒不能ではなかった」
検察側の主張を聞く限り、本多被告が被害女性たちにとった言動は、経営者と従業員の間でかわされるような類のものではない。
これに対し、弁護側は、「女性従業員らは本多被告に対し抗拒不能の状態ではなかった。もしくは抗拒不能の状態であったとしても本多被告がそれを認識していなかった」と主張した。
弁護側の冒頭陳述によると、本多被告と女性従業員らは、それぞれふたりで旅行に行ったり、食事をしたりする間柄だった。その証拠として複数の写真を提出し裁判員に見せた。
本多被告と被害者らが一緒に食事をする様子や、旅先で撮影されたもの、いずれも本多被告のスマートフォンに保存されていたもので、中には、女性従業員と本多被告がキスをしたり、一緒に入浴する様子を写したものもあった。
また、女性従業員らが受け取っていた給与明細も、証拠として提出した。
弁護側は、「肉体関係を含む親密な関係」「(女性たちは)高額な給料をもらっており、自由な意思で親密な関係を受け入れていた」などと主張した。
注目される女性従業員らの証言
女性たちはどのような気持ちで、経営者である本多被告と写真に収まっていたのだろうか。
そして、高額な給与を受け取っていたことと、抗拒不能の状態ではなかったことは、いったい何の関係があるというのだろうか。
裁判は今後、女性従業員らへの証人尋問や本多被告への質問などが行われ、2月25日に判決が言い渡される。
RKB毎日放送 記者 奥田千里