長野県軽井沢町で大学生ら15人の命が奪われたスキーバスの横転事故。
9年前の事故の背景には運行会社のずさんな管理体制がありました。
再発防止を願い奮闘を続ける遺族の思いと、運行管理の規制強化が続く、バス業界の現状を取材しました。
事故で次男の寛(かん)さんを亡くした田原義則(たはら・よしのり)さん。
1月12日、寛さんの形見のマフラーを巻き、京都府舞鶴市の墓を訪れました。
悲惨な事故を二度と起こさせないー。
命日を前に、通夜の時に寛さんと約束した再発防止への思いを改めて誓いました。
田原さん:
「時間が経てば経つほど再発防止への思いというのは強く持たなければいけない」
「子どもたちの死を無駄にしない、事故を無駄にしないということを約束して、事故が起こらないようにするために働きかけていくことを9年間やってきましたので、寛も背中を押してくれているので、決意新たにした」
バス事故の遺族でつくる「1・15(いってんいちごう)サクラソウの会」の代表を務めてきた田原さん。
この9年間、国やバス業界に対して、再発防止に向けた提言を行うなど活動を続けてきました。
事故の背景にあったのは、バスの運行会社のずさんな運行管理です。
運行会社では事故のおよそ1年前に行われた監査で、運行管理における複数の法令違反が指摘されていました。

しかし、会社は嘘の弁明書を提出するなど、状況が改善されることはないまま、事故が発生。
さらにその後の特別監査では、運行を指示する書類の不備や、事故を起こした運転手に健康診断を受けさせていなかったことなど、33項目もの違反が発覚したのです。
同業他社との価格競争のためコストの削減を重視し、安全管理をないがしろにしてきた実態が浮き彫りとなりました。
田原さん:
「いつ事故が起こってもおかしくない運行管理、実質安全管理ができていない」
「バス業界全体でそれ(規則)をきっちり守れるような仕組みになってほしいと思います」

事故のあと、国土交通省は85項目の再発防止策をまとめ、貸切バスの事業許可を5年ごとの更新制にしたり、安全確保を怠った業者への罰金を引き上げたりするなど、規制を強化しました。
さらに2024年4月には、新たな規則が設けられました。